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なにかあり/とくになし

2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧

夜のさっちゃん

平賀さち枝の「さっちゃん」という傑作アルバムには 冬から春への景色の移り変わりを 色濃く下敷きにしたようなところがあり、 暑い夏には向かない気がして しばらくしまっておいた。 ところが こないだの台風以来 ぐずついた涼しい日が続いているので、 出…

仙台か

ぶわっと降ったり ぐずついたり。 そんな天気のおかげで 高校野球の栃木県大会決勝が連日順延になっているそうで 士気高まるナインや関係者にはいい迷惑だが、 原稿にへばりつく身には ちょっといいこともある。 金曜日の話。 本来なら 決勝戦の中継でつぶれ…

ビーチ・ボーイズを詠む、キャピトル篇

ツイッター上で唐突に詠んだ ビーチ・ボーイズ・全アルバム川柳・キャピトル篇。 時系列で掲載したつもりが 肝心の「ペット・サウンズ」が すっぽり抜け落ちていたりして。 というわけで 全19首を ここにあらためて掲載します(一部修正した句あり)。 海に…

背中合わせ

レイハラカミさんとは まったく面識はないのだが、 一度だけ 背中合わせに座ったことがある。 3年ほど前の秋、 渋谷のクラブクアトロで キセル/レイハラカミ/二階堂和美という顔ぶれのライヴが カクバリズム主催で行われた。 ぼくはそのとき ハラカミさん…

内省について片岡義男さんが言ったこと

昨晩のNHK-FM「小西康陽 これからの人生。」。 ゲストの片岡義男さんがぽつっともらしたひとこと 「内省か。 内省は語れない。 内省は難しい……」 (うろ覚えの再現にて失礼)が、 耳からずっと離れない。 リアルタイムでの片岡さんは ビーチ・ボーイズを ほ…

ぼくがもう一度踊る理由

ツイッターで 気まぐれに朝と晩やっております名画座mrbq。 この10日分ほどのまとめです。 キンクスを歌う女たち、その1。 キンクスを歌う女たち、その2。 キンクスを歌う女たち、その3。 キンクスを歌う女たち、その4。 電車を愛した原田芳雄さんに捧ぐ。 …

踊る理由

以前に一度 ぼくは片想いを見損ねている。 ceroの「WORLD RECORD」レコ発ライヴのあの夜、 彼らはゲストで一番手に登場したのだが、 ぼくが会場に着いたのが遅かった。 それでも その日みんなが ceroへの祝福と讃辞の合間にこっそりと 「いやー、片想いが………

おいしいことが一日にふたつ手に入ることは、ありうるのか

吉祥寺を出て 所沢に向かうのが 予定よりも遅くなった。 吉祥寺のソーラーギャラリーで行われていた 漫画家グループ、はしレンジャーの展示会にて、 尊敬するイシデ電さんの直筆サインを 持参したコミック「月光橋はつこい銀座」にいただくために 列に並んで…

松永さん、ケンカしてませんでした?

先日の原田芳雄さんの告別式のもようについて 知人と電話で話していたら 思いもかけないことを訊かれた。 「ところで、松永さん、ひょっとして式に出ておられた?」 なんでも ぼくに後姿がそっくりなひとが 斎場でケンカしているのを見た、というのだ。 えー…

モア・ザン・ア・フィーリング

羽海野チカ「3月のライオン」6巻の表紙を 飾っている太っちょの少年、二海堂晴信。 彼のモデルが 29才で亡くなった未完の天才棋士、 村山聖(さとし)であることはよく知られている。 劇中で 二海堂が 愛すべき将棋馬鹿として 愛すべき友人思いとして 愛すべ…

将棋も出来ないのにどうして将棋漫画を読むんですか?

「将棋も出来ないのに どうして将棋漫画を読むんですか?」 そう訊かれると すこし困る。 だいたい そういう問いって 「楽器も歌もロクに出来ないのに どうして音楽聴けるの?」 というのに近くないか? 人間をきちんと描いていれば題材なんて何だって! ま…

勝手に、レコード川柳

今週号の「週刊文春」。 柳家喬太郎・選「川柳のらりくらり」のお題が 「レコード」だった。 というわけで それにインスパイアされて 朝っぱらから勝手にレコード川柳してみました。 全20首。 うち12首はツイッターで発表済みですが、 残りの8首は 朝ご飯食…

グッジョブ、おっさん

数日前の晴れた晩。 帰りの総武線から降り 阿佐ヶ谷駅のホームを階段に向かって歩く。 読みかけの本があったので それを片手に持って チラ読みしつつ。 すると いきなり体当たりしてくるひとがある。 前を歩いていたおじさんが いきなりきびすを返し、 あや…

吉本浩二さんに、礼

漫画好きのあいだでは もうとっくに話題になっているんだろうけど、 いてもたってもいられない気持ちを書きたい。 宮崎克原作・吉本浩二作画 「ブラック・ジャック創作秘話」(少年チャンピオン・コミックス・エクストラ)のこと。 その素晴らしさについては…

名画座mrbq先週のまとめ

ついこないだからはじめたツイッターで ひとしれずやっている名画座mrbq 先週のまとめ。 祝・来日決定。 ともだちになろう。 1938年のクレイジー! サイケデリック・ピンク! バンビVSゴジラ。 わたし、こんがらがっちゃったわ。 狭すぎるスタジオで。 わた…

その25ドルのチケットは世界で一番安い その7

もちろん ジョン・ブライオンは アンコールにもさっさと答える。 ただ隠れたり 着替えたりするためだけのインターバルなんて 彼にはもったいないんだろう。 音楽で あっと言わせたいことが まだまだ山ほどあるんだから。 当然のように リクエスト・アワーを…

その25ドルのチケットは世界で一番安い その6

ふたつのスクリーンに映る映像を 巧みに操りながら、 いや、 巧みというほど緻密じゃないのかもしれない、 あやふやで曖昧なシンクロを楽しみながら、 ジョン・ブライオンは ロキシー・ミュージックの名曲「モア・ザン・ディス」を歌っていく。 リズム・セク…

その25ドルのチケットは世界で一番安い その5

ベーシストとピアニストをゲストに迎えて ジョン・ブライオンのショーはつづく。 アコースティックギターを手にして じゃらじゃらと弾けば その曲は キンクスの「ウォータールー・サンセット」。 つづいて 「せっかくだから ジャズでもやろうか」と ヴィブラ…

その25ドルのチケットは世界で一番安い その4

ジョン・ブライオンの悪だくみのせいで ラルゴの客席は 「ゴッド・オンリー・ノウズ」を歌いたい ビーチ・ボーイズ志願者(アラフォー)の集う 即席のアマチュア聖歌隊にされてしまった。 彼の弾くピアノにあわせて 合唱がはじまる。 アイメイナッ、オールウ…

その25ドルのチケットは世界で一番安い その3

「レディース&ジェントルメン、 ジョン・ブライオン」 紹介が終わると BGMがゆっくりとフェードアウトしていく。 さっきから気になっているんだけど この音楽 いったい誰なんだろう? 音色から察して たぶん1930年代か40年代のコンボ・ジャズ。 ちょっと変…

その25ドルのチケットは世界で一番安い その2

エントランスから 吹き抜けになった中庭をすこし進むと もうそこにラルゴのホールはある。 古い映画館を改装した というか ほぼそのままの造作を残していて 椅子のビロードにも年季が入っている。 ぼくの席は 今日は舞台に向かって右手の 前から5列目の端。 …

その25ドルのチケットは世界で一番安い その1

ジョン・ブライオンは ウェスト・ハリウッドにある 古い映画館を改装したライヴハウス「LARGO(ラルゴ)」で 毎週金曜日の夜にライヴをやっていた。 ラルゴが今の場所に移転する前は フェアファックス通りの店で 食事するお客さんたちに囲まれてやっていたが…

兄弟の誓い

前々からウワサは聞いていたのだが ようやく本決まりになったらしい。 スパンピナート・ブラザーズの ファースト・アルバム「パイ・イン・ザ・スカイ」日本発売と (初)来日公演。 新作はディスクユニオン先行発売で 同時にライヴのチケットも発売するとの…

チコク

先週アメリカから帰ってきて いきなり左の奥歯の詰め物が取れてしまった。 その 新しい詰め物が出来たというので 出掛けに歯医者へ。 治療のため すこしチコクするかもしれません、と ハイファイにはメールしておいた。 ところが 意外とあっさり治療は終了。…

ニカさん、ほぼ日にて

二階堂和美が オンステージを繰り広げるはずの 「ほぼ日」の会議室は、 まるでちょっとした学芸会みたいな 素朴でDIYな飾り付けだった。 彼女が「ニカセトラ」でも採り上げた名曲 「思い出のアルバム」の 学級っぽいイメージから出て来た セッティングなのか…

今年の脳内盆踊りはこれに決めた!

ニュージャージーの酔狂なFM局WFMUから 定期的に送られてくるメールマガジンで 1975年から87年までデトロイトのローカルTV局で放映されていた ダンス・ショー番組「THE SCENE」のことを知った。 ファンクからディスコへ ディスコからテクノへ テクノからヒッ…

少年は泣く

「“モーツー”ではじまったコーラス漫画、おもしろいですよ」と 結構前に教わっていた気がする。 ようやく それがコミックにまとまった。 鎌谷悠希「少年ノート」1巻(モーニングKC)。 天性のボーイ・ソプラノを持った少年と 彼が入部した合唱部をめぐるお話…

大久保さん、ごめんなさい

風変わりで 気骨のある女性シンガー・ソングライター、 大久保由希さんの新作「大久保由希」のことを こないだここに書いた。 ところが 知人より 「あんた、間違ってるってよ!」という指摘が。 なんと 大久保さん自身のブログで ぼくが新作を紹介したことに…

ぼくのハリウッド・ボウリング その6

しかしだ。 踊ってるひともいれば 帰ってくひともいる。 「わー」と歓声をあげるひともいれば 神妙に腕を組んで だまって見ているひともいる。 ひろい客席から アメリカ人の群れを通してYMOを見たとき、 むしろこの さまざま感こそが正常な反応なのだろうと…

ぼくのハリウッド・ボウリング その5

ハリウッド・ボウルのYMOの演奏を よかったとか どうだったかとか 簡単に言うのは 意外と難しい。 アレンジが原曲に近いものが多かったとか、 小山田圭吾、権藤知彦を加えた現在の編成は まっとうなバンドらしさを醸し出す充実したものだとか、 ぼくだって …