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なにかあり/とくになし

2014-01-01から1年間の記事一覧

バブス・ゴンザレス自伝を勝手に訳した。その5

5 “エロール”の下で働いたのは8ヶ月ばかし。そのうち4ヶ月は、彼はヨットで航海にお出かけさ。その間、おれの仕事と言えば、彼の部屋に出向いて、執事から給料をいただくだけ。最後の2ヶ月は、おれは“ハリウッド”にあったナイト・クラブの“スウィング・クラ…

バブス・ゴンザレス自伝を勝手に訳した。その4

4 そんなこんなで二年間は同じようなパターンで日々が過ぎていった。“サヴォイ”への毎週の遠出。週末の演奏と女の子たち。ミスター・ランスフォードは、おれに改めて3つの街での興業を任せてくれた。おかげさまで学校を卒業するころには、おれの経済面はすこ…

バブス・ゴンザレス自伝を勝手に訳した。その3

3 バンドはニュー・ヨークに到着。みんなにお別れをいうときがきた。“ミスター・ランスフォード”からは、次の休みにも巡業に連れてってくれるという約束と、今後のおれのビジネス展開についての提案もいただいてね。 “ニュー・アーク”に戻ると、おれは“舳先…

バブス・ゴンザレス自伝を勝手に訳した。その2

2 社会の窓は順調に開いた。ビリヤード・クラブで掃除と玉揃えをする仕事も見つかったしね。そこでひと月仕事をしてる間は、手持ちの金が減らないどころか増えるいっぽうさ。なにしろおれは博打が得意ときてる。 ある晩、“ジミー・ランスフォード楽団”がダン…

バブス・ゴンザレス自伝を勝手に訳した。その1

しばらく更新がないので 「古いファイルを整理していたらでてきた」シリーズ。 元祖ビバッパーにして 最高にでたらめで愛すべきスキャット使い、 バブス・ゴンザレスの自伝訳(途中まで)。 たぶん、これをやっていたのは2000年代の前半? テリー・サザーン…

CDじゃないジャーナル、ってのがありまして

音楽雑誌「CDジャーナル」で 「CDじゃないジャーナル」という連載をかれこれ2年やっている。 文字通り、 CDじゃないリリースをしているひとたちに 「どうしてこのメディア(CDじゃない)なんですか?」と 単純に聞いてみようというインタビュー記事。 今月発…

「人間」の音しかしない。吉田ヨウヘイgroupインタビュー

7月27日土曜日、夜11時。苗場で開催されているFUJI ROCK FESTIVALの場外ステージである〈Rookie A Go-Go〉に、吉田ヨウヘイgroupは一番手で出演した。 グリーンステージではアーケイド・ファイア、ホワイト・ステージではマニック・ストリート・プリーチャー…

ギターを愛したシティボーイ Kashifロング・インタビュー その4

一ヶ月のご無沙汰をしてしまいました。 “ギターを愛したシティボーイ”Kashifインタビュー、いよいよ今回で最終回。 PPP黎明期を経て、いよいよ少しずつ陽の当たる世界に転がりはじめたKashifの音楽人生。 一十三十一、(((さらうんど)))のサポート、JINTANA &…

ギターを愛したシティボーイ Kashifロング・インタビュー その3

約2週間ちょっとのごぶさたでした。 Kashifインタビュー、第3回。話は2000年代中盤から後半へ。PPP活動初期のさまざまなエピソードが徐々に先へと転がり始めてきた。 そもそものKashifという名前の由来や、彼が持つ別名についてのエピソード。さらには、偉大…

ギターを愛したシティボーイ Kashifロング・インタビュー その2

一週間のごぶさたでした。 「僕らのギター・ヒーロー」(©得能直也)、Kashifインタビュー第二回。 ニュータウン育ちの渋谷通いというシティボーイそのものの環境を、シティボーイであることを拒否しながら過ごしたKashif。第2回では、大学卒業後、PPP結成に…

ギターを愛したシティボーイ Kashifロング・インタビュー その1

Kashif、またの名をSTRINGSBURN、さらにまたの名を”鬼”。そのギタリストは、三つの名を持つ。 横浜の誇る音楽集団PPP(Pan Pacific Playa)の重要メンバーにして、JINTANA & EMERALDSの一員であり、一十三十一、Dorian、ZEN-LA-ROCK、(((さらうんど)))など、…

2004年のツアーバス

もう10年前の話になるのか。 2004年の話を書かせてもらいたい。 その夏、あるアメリカのバンドの日本ツアー・スタッフとして 2週間ほどの毎日を彼らと過ごした。 折しもその夏は 彼らアメリカ人にとっては大統領選挙の夏だった。 9・11の同時多発テロを経て …

「ハーモニカブルース」が聞こえる

高浜寛「四谷区花園町」と 山田参助「あれよ星屑」を 時間が空いたときに たびたび読み返している。 好きな漫画を何度も読み返すということは あるけれど 2冊の、まったく別人が描いた漫画を 同時に何回も読み返すというパターンは、そうはない。 めちゃめち…

Anyone Who Had A Heart

「バート・バカラック自伝」(ロバート・グリーンフィールド共著/奥田祐士訳)を読んだ。 バート・バカラックは 子どものころ 母親のアイデアで「ハッピー」と呼ばれていた。 しかし 実際のバート少年は 学校にも宗教にも自分が教わっている音楽のレッスン…

音楽マンガガイドブック 音楽マンガを聴き尽くせ

えー、日付変わりまして3月14日。 本日、 ぼくが監修いたしました単行本 「音楽マンガガイドブック 音楽マンガを聴き尽くせ」(DU BOOKS)の 正式な発売日となります。 ぼくの名前が表に出る本としては7年ぶりになります。 とはいえ 今回の本は かかわってい…

あのころ漫画喫茶で

この小説もどきの文章は 今年の1月に発行された雑誌「森本書店」に掲載されたものです。 「森本書店」もほぼ完売ということで、 主宰の森本さんからご承諾をいただき このブログに転載することにしました。 3月14日にぼくの監修で DU BOOKSから発売になる 「…

ある夜、南池袋にて、レコードだけで

憎めないポップ・ソングと 気の利いたバンド・サウンドと 素直な歌と ひとひねりあるアイデアとで アルバム「休日のレコード」も最高な ポニーのヒサミツ前田くんのお誘いで レコ発ライヴ幕間のDJをしてきた。 共演は Hara Kazutoshi Trio、 森は生きている…

ある夜、高円寺にて、レコードだけで

1月17日夜〜明け方まで 高円寺某所にて アナログ・レコードだけをかけて ひたすら飲んだりしゃべったりした。 森は生きているのメンバー全員でアナログをかけるという主旨で 去年の7月にひそかに開催した 「森の集い」の第二回ということになるが 今回は吉田…

走れ、ウナギイヌ、なのだ

午後、 ビクターで取材。 その後、 別件に移動する前に 青山スパイラルにちょっとだけ立ち寄り。 赤塚不二夫展を19日までやっているときいたので。 時間がなくて 原画のたぐいを駆け足で見る。 駆け足と言えば 一階に降りると……、あった。 うわさの 赤塚ラン…

「すっぴん!」のひそかにいかす選曲について

NHKラジオ第一の朝番組「すっぴん!」が 最近台所でよく流れてる。 去年の秋に 細野晴臣さんが朝のラジオに生出演した その番組がこれ。 日替わりのパーソナリティに 津田大介さんや水道橋博士、高橋源一郎もいるので TBSラジオが昼間や夜にやってることを N…

ある約束

去年の春、 ウィルコ(バンドのほうです)が来日したときに メンバーのパット・サンソンが ぼくの働いているハイファイ・レコード・ストアを訪れたという ちょっとしたトピックがあった。 パットは はっぴいえんどなどを聴いた体験を通じて 日本の音楽に興味…

ぼくが成人だった成人の日に見た映画とその年の元旦に見た映画

今年最初の三連休。 成人の日だそう。 ハッピーマンデー法はだいきらい。 月曜日に動く祝日と 決して動かない祝日があるという祝日に階級があるのもきらい。 成人の日がこうふらふらと動いてちゃ ふらふらとする成人がたくさん世に出るじゃないかと思う。 あ…

ふたたび、表現(Hyogen)の夜

早稲田奉仕園スコット・ホール。 通っていた大学の近所にある施設であることは知っていたが 足を踏み入れるのは初めて。 ここで 現代には稀有な音楽を演奏する4人組、 表現(Hyogen)のサード・アルバム「琥珀の島」の 発売記念演奏会が行なわれる。 じつを…

泣いた熊谷

月刊誌のしめきりは昨日であらかた終えたはずだが 今日も一日 原稿を書いたり テープ起こしをしたり。 今やっていることは そのうちあれやこれやと 発表できるでしょう。 今はしゅくしゅくと歩を進めるしかない。 夕方、 ひと息つけるタイミングがあったので…

SAKEROCKの季節、のまえぶれ

いろいろあるけど やっぱこれしかない。 今日情報が解禁になった SAKEROCKベスト盤「SAKEROCKの季節」。 ブックレットですこしお手伝いをしたり ほかにも雑誌で仕事をしました。 くわしくは発売になってから。 しかし 胸が熱くなりまくるジャケ……。

Alfred Beach Sandal覚え書き

Alfred Beach Sandal、アルバム「Dead Montano」発売記念ワンマン・ライヴ。 渋谷WWW。 その終盤に彼がしたMCが あまりにも印象的だったので 覚え書きとして記す。 録ってたわけではないので不正確な引用であることを あらかじめおことわり。 =======…

スティーヴ・アレン・ショー

「スティーヴ・アレン・ショー」の動画をうっかり見始めると 仕事が手に着かなくなる。 スティーヴ・アレンは ジャズ・ピアニスト、作曲家、シンガー、司会者として 1950年代からアメリカ随一の文化人として活躍した。 レコードもたくさん出していて とても…

午年に聞きたいレコード

午(うま)年なので 馬ジャケのレコードが売れるでしょう? そんなことをきかれることがある。 ほかの干支でも同様。 現実にはそういうパターンはほとんどない。 逆に「今年ほしい!」と即座に思えるレコードは こういう曲のことだと思う。 「ウマママーマー…

レコードを買う日

1月6日は たいせつな友人だったトム・アルドリーノの命日。 日本流に言えば 三回忌にあたる。 レコードが大好きだったトムのために 今日はレコードを買う日にしようと思ったが いろいろあって叶わず、 ぼくの働くお店で 「お客さんがレコードを買った」とい…

ディス・タイム・トゥモロー

夜、 阿佐ヶ谷rojiの新年会に顔を出した。 なんか思い出野郎Aチームの面々と話をする場面が多かったような……。 思い出野郎Aチームには 今年は音源を出してほしいと思ってる。 たとえばこの「レコードを裏返して もう一度音楽を鳴らそう」という 最高のキラー…