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なにかあり/とくになし

2015-01-01から1年間の記事一覧

2003年の「Fakebook」

2003年にP-Vine Recordsからヨ・ラ・テンゴの「フェイクブック」(1990年)がリイシューされるときに、ライナーノーツを書かせてもらった。 どういうわけかそのCDが手元になく、今はもっぱらリイシューされたアナログで聴いているのだが、古いファイルを整理…

All Things Must Pass

アメリカのタワーレコードの栄華と衰退を描いたドキュメンタリー映画を見た。 タイトルは「オール・シングス・マスト・パス」。 念のために書くと、アメリカにはもうタワーレコードは存在しない。2004年以来、2度の破産を経て、2006年12月22日を最後に全米の…

A visit to Andy Warhol Museum at night

アンディ・ウォーホルがアメリカ東部ペンシルヴェニア州のピッツバーグで生まれ育ち、大学を卒業するまで地元にいたことは、あんまり知られていないかもしれない。生粋のニューヨーカーとして彼のことを勘違いしている人は少なくないし、出自が知られていた…

1999年11月のある日、あるバンドと

あの夜も11月だったなと思い出す。 1999年11月のある日、ニューヨークのペン・ステーションからコネティカット州ハートフォードに向かった。 途中の駅で降り、車で迎えに来てくれていたトムとジョニーと合流した。 今夜、バンドはコネティカットの地元テレビ…

ニュー・ビヴァリー・シネマにて

過日、LAにあるニュー・ビヴァリー・シネマに出向いた。 ニュー・ビヴァリー・シネマのオーナーは、クエンティン・タランティーノ。連日、彼好みの映画が上映される。もちろん可能なかぎりすべて35ミリ・フィルムで。金曜の夜はミッドナイト・ショーもある。…

ザ・ロスト・ウィークエンド

報せは突然だった。 カリフォルニアのウェスト・ハリウッドにあるライヴハウス、ラルゴで、2015年5月8日、9日の二夜にわたって、ヴァン・ダイク・パークスが“ラスト”・ライヴ〈ザ・ロスト・ウィークエンド〉を行うというのだ。 一瞬「え? 引退コンサート?…

野田薫のありのまま 野田薫インタビュー その4

シンガー・ソングライター、野田薫インタビュー、第4回にして最終回。 前回までのインタビューは、5月に高円寺円盤での公開イベントとして行われたもの。今回は、そこからはみ出した話を、あらためて6月に阿佐ヶ谷のRojiで取材したものだ。 だが、話の内容と…

野田薫のありのまま 野田薫インタビュー その3

シンガー・ソングライター野田薫インタビューも、第3回。 ファースト・アルバム『あの日のうた』を自主制作し、いよいよ本格的に音楽活動を活発化……と思いきや、彼女の人生はまたおもしろく寄り道をする。 今回はその顛末を、ありのままにめぐってみた。 前…

野田薫のありのまま 野田薫インタビュー その2

シンガー・ソングライター、野田薫インタビュー、第2回。 今回は、自分で自分の音楽をやるとはどういうことなのかを考え続けた時代の彼女を追った。 「曲って、自分の音楽って、どうやったらできるんだ?」って真剣に自問自答していた時期を、彼女は忘れてい…

野田薫のありのまま 野田薫インタビュー その1 

野田薫のセカンド・アルバム「この世界」が、すごくいい。 そして、ぼくは野田薫にちょっとした恩を感じている。彼女が歌うのを初めて見た晩。それはぼくにとっては結構、運命的な夜だった。 2012年4月28日、阿佐ケ谷のRojiで行われた〈野田薫帰国記念ライヴ…

地の塩

2015年6月2日。 両国国技館が会場で 建物の中央、つまり土俵の部分にステージが作られていた。 円形の舞台で 5人ではじめて円になって 最初は照れくさそうだったけれど 本当に最高の演奏をした。 でも本当の本音をいえば もっとしくじってほしかった。 だっ…

『SAYONARA』について

伊藤大地のカウントから〈Emerald Music〉が流れ出したとき、不覚にも動揺してしまった。SAKEROCKというバンドを解散するために集まった5人が一緒に出している音は、からっとしていて、ちょっとだけセンチメンタルで、くやしいくらい彼らがやり続けてきた音…

Don’t Think I’ve Forgotten : Cambodia’s Lost Rock And Roll

過日、ニューヨークのインディペンデントシネマIFCの深夜上映である映画を見た。その映画とはDon't Think I've Forgotten : Cambodia's Lost Rock And Roll。 日本でもちょっとだけうわさになっていた映画で、50年代にフランスから独立後、70年代半ば政変に…

古川麦の、遠くを近く見る 古川麦インタビュー その3

古川麦ロング・インタビュー、第3回にして最終回。 3月17日渋谷WWWでのアルバム・リリース・パーティーに間に合わせる予定だったけど、結局それをまたぐことになってしまったことをお詫びします。 でも、そのおかげで鈴木竜一朗くん撮影の当日のライヴ写真も…

古川麦の、遠くを近く見る 古川麦インタビュー その2

古川麦、ロング・インタビュー2回目。 いよいよ麦くんのバンド・ライフがはじまるのだが、これがまたごく普通のバンド少年の青春のようでいて、ちょっと(いや、かなり)違った感じになっているのがおもしろい。 彼が組んでいるDoppelzimmer、表現(hyogen)…

古川麦の、遠くを近く見る 古川麦インタビュー その1

古川麦(ふるかわばく)と初めて会ったのは、いつだったか。 たぶん、阿佐ヶ谷のRojiで、女性シンガー・ソングライター、野田薫の帰国記念ライヴ(wあだち麗三郎)が行われた晩。ということは、調べてみたら2012年4月28日。 その日、ライヴ本編が終わってな…

guiroの“終わりの終わり”と“はじまりのはじまり”

鶴舞の駅を降りて ただしい出口から出たはずなのにあっさり道に迷った。 地図とは逆の方向に歩いていたのだと知る。 この時点まで開演まであと7分。 気がせく。 引き返すと今度は地図どおりに道が見える。 これでいいのだ。 だが前方右手に人だかりが見えて…