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なにかあり/とくになし

しぐさ主義

江戸しぐさ、なんて言葉がはやったのは
2年ほど前のこと。


ぼくはそこには触らなかったけれど、
江戸時代のひとたちの
生活様式や立ち振る舞いが魅力的だという好奇心の押しつけではなく、
毎日の暮らしの中での
ちょっとしたことを見つける
気づきの楽しさみたいなことを言っているのだと
好ましく感じた。


川島よしおという漫画家は
旬の味覚、
古典芸能、
東映を中心とした昭和ヤクザ映画から現代オタク道まで
非常に博学なひとだということは
彼の作品を読むとすぐわかるのだが、
そういうマメ知識を超えて読者にアピールしてくるサムシングということになると
登場人物の“しぐさ”を挙げたい。


ストーリーとは関係のないところ
(あるいは一見、関係がないと思わせる伏線)に
いちいち感じのいい“しぐさ”が
転がっている。


出所不明の情報につき、ちょいとあやしげだが
昔、魚屋さんで働いていたこともあるという
経歴を目にしたことがある。


魚屋さん、と言ってもピンキリなのだろうが、
なんとなくその履歴をなるほどと感じる。
そういう良さがあるのだ。


次に落語をテーマにしたドラマやら映画やら作るのなら
川島よしお「おちけん」がいいですよ、きっと。


サケロックのハマケンこと
トロンボーンの浜野謙太が
名前のよく似たシンガー・ソングライターハシケンとつくった
ハシケンハマケンのデュオアルバム「TAKARA」を聴いた。


ハマケンのトロンボーンがとてもいい。
ハシケンの歌と声の持つヒトクセと対決するのではなく
絶妙に引き算して自分を見せる音になっているところが
すごくいい。


サケロック
追いつめられて暴発するエンターティナーとしての
プレッシャーと戦っている間にも
こんなさりげない技を身につけていたんだなと
ちょっとうれしくなった。


技というか、
もじもじ、
もそもそ、
もしゃもしゃとした、
これもまた“しぐさ”のわかる音だと思う。


しぐさを伝えることが出来るのは
ひとつの特権であり財産なのだ。


最後にお知らせ。


一年間大変お世話になってきた
columbia*readymadeのHP
3月31日いっぱいをもって終了する。


レコード手帖。」のページでは何回か執筆もさせていただき、
とても感謝しています。


ありがとうございました。
おつかれさまでした。
でも、きっと、またいつか。


とりあえず、
31日0時の最後の更新を
心して待ちたいと思います。