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なにかあり/とくになし

KICK ASS

ようやく「キック・アス」を見た。
鼻血が出るほどおもしろかった。


キック・アス」で思い出すのは、
去年の5月にアメリカにいたときのこと。


街のいたるところのビルボード(広告看板)に
見てるこちらを罵倒するひとことが
ジャーンと大写しになっていた。


「KICK ASS」


そのとき車の運転をしてくれていたのは
西海岸で映像関係の仕事をしていたひと(日本のひと)で、
その説明をしてくれた。


「あれね、
 今ものすごくヒットしてる映画で
 めちゃくちゃおもしろいんですよ。
 でも日本には行かないかもしれないですね」


どういう映画かと訊くと


「基本的にはオタク系の話なんですけど
 かわいい女の子がヒロインで出てきて
 悪者をじゃんじゃん殺しまくるんですよ。
 女の子と言っても
 ほんとに小さい。
 10歳くらいの娘なんです」


その説明で
映画の内容までくわしく理解したわけじゃないけれど
たしかに
何となく日本では
顔をしかめるひとが多そうな話ではある。


話はそのあと
アメリカで大ヒットして
評価も高かった「ハングオーバー」も
日本ではなかなか買い手がつかず
公開されるかどうかわからないとか、
ナポレオン・ダイナマイト」を
DVDスルー(映画館で公開せず、DVDのみ販売すること)にして、
しかも
当時「電車男」が流行っていたからと
日本での流通タイトルを「バス男」にした、
その業界的なセンスの無さはどうなのかとか、
そんな感じで会話は流れていった。


彼が言っていたのは
日本の業界に対する批判ではない。
むしろ
絶望に近い憐れみみたいなニュアンスだった。
そして彼のその気分が
ぼくには苦いリアリティとして残った。


結果的に
ハングオーバー」も
キック・アス」も
町山智浩さんたちの多大な尽力も奏功して
こうして無事に日本でも公開された。


新宿武蔵野館にも
平日夕方の上映(女性サービスデーではあるけど)だというのに
立ち見も含めて
おおぜいの観客が詰めかけていた。


見せかけのヒットではなく
混沌としたセンセーションを求めているひとたちは
この国にも
いなくなったわけじゃないのだ。


欲を言えば
急遽決定した拡大上映で
フィルムのプリント数が足りないからなのか
新宿ではDVD上映だったため
画像や音質の迫力に不満がちょっとだけ残った。


出来れば
もう少し大きいスクリーンで
爆音で
もう一回見たい。


サントラもよさそうだ(アナログがあればもっといいのに)。
一曲参加しているZongaminは
知るひとぞ知るロンドン在住の日本人アーティストだ。