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なにかあり/とくになし

お正月

年の変わり目は渋谷WWWで迎えた。




Yogee New Wavesの角館くんがマイクを取ってのカウントダウン。ドアを力強くノックして、ぶわっと開けた感ある。


思い出野郎とEMCからのnever young beach。無礼講な気の放出がすごい。男の子たちがわあわあ叫び、女の子たちがわけのわからない自由なダンスを踊っている。ネバヤンの新曲「明るい未来」の曲とタイトルに打たれた。バンドが何年かに一回出会えるタイプの“次に行く”曲。これが2016年に最初に記憶に刻まれた曲。


友人が車で送ってくれるというので、ばたばたとあいさつを済ませて帰路へ。時計の針は午前4時をまわっていた。まだ初日の出まではちょっと時間があるが、ツマは寝ているので騒々しくはできない。かといってなんか仕事をするにはちょっと酔っている。手持ち無沙汰なので年末に六甲の口笛文庫で買ったディック・ミネの自伝「八方破れ言いたい放題」をめくったら、思いがけず、「昭和六十年 初春」と日付のある直筆サイン。


 「音に生きる ディックみね」


ありがたいご宣託いただいた。だが、寒くなってきたので、すこしだけ横になることにした。結果、初日の出を逃したことはいうまでもなく。




はっと目が覚めたらお昼。すでに陽は高い。
ヴァン・ダイク・パークスが紹介したエッソ・トリニダード・スティール・バンドのアルバムに入っている「カム・トゥ・ザ・サンシャイン」を聴いて、初日の出の替わりといたしました。


「志村&所の戦うお正月2016」を見ていたら、かつての東京の写真から現在地を探す対決で出てきた。その課題として出た一枚の写真に息を飲む。


新宿東南口の台北飯店!




20歳くらいのころバイトしていたレコード店の人たちとよく行った。おんぼろだったけどすばらしい味わいの店だった。 弟が高校をさぼってトッド・ラングレンのライヴを見るために上京してきた夜も、この店の水餃子やしじみの酒蒸しを食べたと思う。のちにすばらしいライターになられたバイト先の先輩とケンカして(実質的にはぼくが一方的にやられて)店の脇の階段で泣いたこともあった。ふたりとも相当酔っていたし、そのころのぼくはそう言われてもしかたない世間知らずの知ったかぶりだった。


お雑煮(おもち3個)を食べて、陽が高いうちに近所の神社に。おみくじは大吉。ありがたいことがつらつらと書いてある。結ばずに財布に入れた。


録画しておいた「紅白歌合戦」で、とりあえず星野源くんの出番だけ確認してから、「芸能人格付けチェック」の予選をやっていたのでぼんやり見ていたが、知人のTLで「芸人キャノンボール」の予告篇が放映されていることを知り、すぐにチャンネルを回した。予告篇から、おもしろい予感がある。そこからはもう本篇が終わるまで5チャンネルには二度と戻らなかった。


見た人のだれもがロンブー淳の情報収集力と行動力、そして人を気安くさせる交渉術に圧倒されたと思うけど、ヒールとしての役割をしっかり自認したおぎやはぎチームの4人が素晴らしかった。序盤、おぎやはぎが立てた中指でライバルたちを挑発したシーンは2016年元旦地上波ゴールデンタイム一番の確信犯映像だったと思う。


直感的に思い出したのは、NYパンクの先駆的レーベルORKの共同主宰者チャールズ・ボール(故人)の写真。




去年、Numero Groupから出たコンピの分厚いブックレット(200ページ弱!)にも、その写真はもちろん掲載されている。 髭面の策士、テリー・オークのキャラクターに注目してしまうところだけど、髪型もいかしてない、気弱そうなチャールズ・ボールに宿る、ひんやりとした反逆心に、強く感じるものがある。


つづいてTBSで放映された「ドリーム東西ネタ合戦2016」も実力派ぞろいで間違いなくおもしろかっただろうけど、「芸人キャノンボール」の余韻が強すぎた。夜の散歩に出ることにした。


新年最初の散歩のお供は、asuka andoと井の頭レンジャーズ「シャ・ラ・ラ/愛のさざなみ」、そしてVIDEOTAPEMUSIC「世界各国の夜」へ。


途中、暗がりにぼんやり浮かぶドーム型の建物を通り過ぎるときに、シャッターを押した。そしたら、まだ30%以上あったはずの電源が落ちた。その後は無音で歩いて帰った。いつもよりすこし暗い道を戻るとき、頭のなかにはORKレコードのふたりの写真が、なぜかちらついていた。




頭で鳴ってる音はなぜかNYパンクではなく、年末にリキッドルームで見たPIZZICATO ONEとサニーデイ・サービスのライヴで、小西康陽さんが最初に歌った「お正月」。声も節回しも、小西さんのものになっていた。


年賀状が届いていますが、今年はまだ着手できてません。
この場を借りて、おめでとうございます。
返信の年賀は出します。