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なにかあり/とくになし

“もん”つながり

京王線の布田(ふだ)という駅へ、用事があって行く。
東京に住んでいても、地元の人以外にはほとんどなじみの無いこの地名。
駅で言うと、調布のひとつ手前になる。


行きがけにハイファイに寄る前、やけに屋台の出店が賑やかだと思ったら、酉の市だった。
一の酉である。
渋谷でも酉の市はやっている。
ドラ焼き、ならぬ、“ドラえもん焼”(ドラえもんをかたどったミニ人形焼)を一袋、ハイファイへの手土産に購入。


人形焼のフラッシュバック……。


そう言えば、数年前、無職だった頃、日雇いの派遣で“ポケモン人形焼”の仕分け、梱包という仕事に数日間出かけたことがあった。
あの頃、ポケモンは空前のブームだったので、東京駅を中心に一日に一万箱売れるとかなんとか。
24時間昼夜ぶっ通しの三交替制でおばちゃんやら、やる気のないバイトやらが働いていた。


チャーリーとチョコレート工場」とは似ても似つかぬ、北区のポケモン焼工場である。


布田での用事を済ませた帰り道。
がらがらの車内で、網棚に放置されていた雑誌『イブニング』を読む。
週刊モーニング』の兄弟誌だ。
「ヤング島耕作」なんかが載っている。


そうか、石川雅之の「もやしもん」はこれに連載されてたんだっけ。
農大の粘菌研究サークルを舞台にしたシチューエション・コメディ漫画「もやしもん」は単行本化され、最近ちょっと話題を呼んでいる。
本屋で手が伸びかけたんだが、まだ買ってないな。


石川雅之は、絵柄はやや古いが、とても力のある漫画家だ。
かつて、『モーニング』で10週連続、読み切り掲載という破格のデビュー待遇を受けたことで名前を覚えた。
それらをまとめた単行本「週刊 石川雅之」は、とても“読みで”がある一冊。
キメの細かい奇想を、じっくり読ませる。ベタだが、ギャグの腕もある。


売れるのが遅すぎたぐらいだ。
その遅すぎて、ちょっと設定やギャグが発酵してしまった感じ(テーマが粘菌だけに)が、ぼくが「もやしもん」に、いまいち乗り切れないところにつながっているのかもしれない。
もちろん、こういう作家がきちんと描いていけることは、いいことだ。みそをつけるつもりはない。
そのうち買う。


たぶん、「週刊 石川雅之」は、今までほとんど売れていないと思う。(後日注:と思って、書店で確認したら、現在すでに第三刷! お詫びして訂正します。結構売れてます)
もし、「もやしもん」の横に引っ張り出されて置いてあるのを見かけたら、まずはそれから読んでみてほしい。


ドラえもんポケモン、「もやしもん」。
話が“もん”つながりしてしまった。