mrbq

なにかあり/とくになし

毛生え薬からレス・ポールまで

世の中に毛生え薬のたぐいは数あれど、
一番必要なのは、頭用じゃなくて、
心臓に毛の生える薬じゃないかしら?


きっと何事にも動じなくなります。


もっとも、もし心臓に毛が生えちゃったら、
隣の胃袋や肺がくすぐったくてしょうがないだろう。


ほら、想像しただけで痒い、痒いよ〜。


閑話休題


今日、2月9日、海の向こう、ロサンゼルスのアンフィ・シアターで、
レス・ポールの90歳を祝うコンサートが行われるはずだった。


しかし、肺に水がたまる病気になってしまい、急遽レス・ポールが入院してしまったという。
コンサートは予定通り、“レス・ポールを称える宴”ということで、主役不在のまま行われるらしい。
出演はジョー・ペリーとか、エース・フレーリーとか。
世界で一番レス・ポール・モデルのギターが似合うと中学生の頃は思っていたジミー・ペイジは出ないのね。


ところで、ミュージシャンとしてのみならず、彼の発明家としての偉業を称えるのであれば、
ぼくなら出演者にはタッカーを絶対に推薦するね。
死ぬまでに(レス・ポールが、という意味ではありません、縁起でもない)一度は見てみたいセッションだ。


ぼくがニューヨークのイリジウム・クラブでレス・ポールを見たのは、
このひとが89歳になる一週間前の月曜日。


毎週月曜日、必ずレス・ポールは、このタイムズ・スクエアのど真ん中にある小さなクラブで演奏している。
それも、一晩にショウを二回。
約二時間弱ずつ、きっちりと。


とはいえ、ショウが始まって30分ほどすると、
そこからはゲストの飛び入りタイム。
マチュアからプロフェッショナルまで、巧拙もあまり問わない。
あらゆるシンガーやプレイヤーが、この巨人の伝説的な人生と交わる。
レス・ポール塾”の趣である。


よくしゃべり、よく弾く。
多分、このひとは、他人が言うほど、神秘のヴェールなんか必要としていない。


あの日、彼が言ったジョークは、例えばこんなものだった。
「今、うちのバンドは男ばっかりだな。前はベーシストが女性で、トリオ編成だったんだ。レス・ボール(less ball=玉無し)トリオ、なんつって。クシシシシシ」


89歳、ダジャレすか!


どうやら、レス・ポールの爪の垢を煎じると、
上等の心臓用毛生え薬が出来そうじゃ。
と、強引にオチをつけてみた。


レス・ポールの快癒を祈ってます。