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なにかあり/とくになし

古さ狩り

PSE法がやいのやいのと騒ぎになっているが、
その別のところで、今度は残留農薬の規制法で、
古い洋酒(ウィスキーやヴィンテージ・ワイン)が輸入出来なくなるかもしれないのだという。


確かに、海外からの輸入作物に残留している過度の農薬は見過ごすことが出来ないが、
時代を遡ってそれを検証するというのはどうか。
しかも、今回の場合は、
事実上、過去のものは検証不可能なので規制する(つまり差し止めする)という可能性が高いらしい。


生ものであれば、時間が経過すれば朽ち果ててしまう(冷凍食品は除く)。
だが、時間が経つことによって味わいが増すものについて、一切の考慮がされていないのだ。


ぼくはビール以外は味もわからない門外漢だが、
これはもう、別の法律を借りた、ある種の“古さ狩り”が行われているのだと思う。
別件逮捕というのに近い。


根っこのところに“古さは悪である”という決めつけ、
あるいは“古いものなど、どうでもいい”という軽視がある。
過去の積み重ね(良いことも悪いことも)の上に自分たちが立っていると考えることが、
とても面倒くさいことになってしまっているのだ。


しかし、その心理は、実はわからないでもない。
ものごとを芯から理解するために遠回りして考える時間が出来るほど現代社会はゆっくりしていない。
そして、教える側も正しい道順に意固地なほどにこだわりすぎて、
時代のスピードから遙かに取り残されている。


“古さ”を新しくしなけりゃならないのだ。
その方法はきっとある。
本気でやらないと。
“古さ”が本気になったら、誰もかなわない。


寺内貫太郎一家」第12話。
テーマは卒業式、そして女中。
何か現実(とくに女中)とシンクロしてる。