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なにかあり/とくになし

プロンク

ロニー・レインの伝記映画を
5月から渋谷でやるというチラシを受け取った。


彼の来日公演を見たのは、もう十何年前。
川崎のクラブ・チッタだった。
すでに難病の筋萎縮性側索硬化症に大きく冒されていた彼を
力士の琴風みたいな大柄のギタリストが
抱きかかえてステージ中央に座らせた。


決して万全ではなかったけれど、
小さな身体から大きな熱を
じわっと放出していた歌と演奏が忘れられない。
真摯ではあるけれど、まったく悲痛さはない。
ほどよい“酔い”のようなものは変わっていなかった。


彼の愛称は“プロンク(plonk)”と言って、
イギリスのスラングで安いワインのことなのだそうだが、
ひとびとの手の届かない高級酒のようなスターに
なろうと思えばなれたのに
生涯それを拒否し続けた彼らしいあだ名だと思う。


おっと。
この映画、見る前に褒めている。
良い作品であることを、心から願ってます。