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なにかあり/とくになし

あたし、リトル・リチャードっていうのよ

チャック・ベリーの生誕60周年を祝った
映画「ヘイル! ヘイル! ロックンロール」
のDVDデラックス・エディションを見ていて、
どうしても気になることがある。


アメリカ版(4枚組)に収録の
ロビー・ロバートソンによる
チャック・ベリー・インタビューが
ばっさりカットされていることか?


違います(それもひどい改竄だけど)。


ボー・ディドリーとともにトークで出演し
50年代のチャックを語る
リトル・リチャードの字幕が
男言葉になっているところ。


リトル・リチャードの性格が真性のオネエさんであることは
本人もとっくにカミングアウトしている有名な事実だし、
英語がわからなくても
しゃべっているときの“しな”を見れば
誰でもわかる。


それなのに
やけに侠気な男言葉。


字幕をつける段階で
そこに踏み込んで判断できる
監修が行われていないのだ。


たとえば、この映画を通じて
初めてロックンロールの歴史に触れるこどもがいたとして
そこでリトル・リチャードが
「あたしはね」とか
「やんなっちゃったわ!」とか
オネエ言葉でしゃべっていたとしたら、
その場面で頭に浮かぶ数々のはてなマークも含めて
すごく意義深いテキストになると思うのだが。


あるいは、
リトル・リチャード→
エルトン・ジョン(初期)→
ミーカ。


そんな図式を組んでみたら、
ごたごたとしたロックの歴史の中をまた一本
死ぬほどわかりやすい
直線が貫くだろう。