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なにかあり/とくになし

ともかくだ、は〜、ともかくだ

ヴァン・モリソンの「ムーンダンス」という曲を聴けば、
80年代にスティングやスタイル・カウンシルがやろうとしていた
ロックとジャズの高いレベルでの融合みたいなことを
彼がこの一曲でとっくになしとげていたことがわかる、
かなわないよ
というようなことを誰かが昔レビューで書いていた。


それを是とするかどうかはともかくだ。


ついに単行本化されたいましろたかし
連作短篇漫画集「盆堀さん」(エンターブレイン)収録の
第一話「ダウナー春山」を読めば
“現代の青春を絶妙にとらえている”とか評される
若い漫画家たちの全作品を束にしても
この12ページの足下にも及ばないと断言できる。


停滞し、嘆息し、妄想し、
逡巡し、呻吟し、逆走する
ましろ漫画のありじごく
ただただ引き込まれるのみ。


でもぼくは
いましろたかしを読みながら
ヴァン・モリソンは聴かねー。


ヴァンにかなわないと
そしられたとしても
「マイ・エヴァー・チェンジング・ムーズ」
(ころころ変わるおれの気分)
と歌いながらお洒落に血迷った
ポール・ウェラースタイル・カウンシル)の方が
ずっとずっといましろたかしに近い。


それが音楽的な褒め言葉かどうかはともかくだ。
は〜、ともかくだ。


夜、
友人M田の働く
白金の和食レストラン「心米」に
初めて行きました。
かばんの中には「盆堀さん」。