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なにかあり/とくになし

彼女の武器

黒船レディと銀星楽団の
アルバム・リリース記念のライヴに出かける。


出かけると言っても、
幕間のDJのひとりとして、一応“出演”したことになる。


ぼくのDJは選曲的に少々やんちゃしたねと言われたが、
どうなんだろう。


確かに客席に先陣切って駆けつけていたのは
想像をしていたよりもずっと年輩の方々で、
彼女たちの歌が届いてきた場所を
興味深く感じたりもした。


それはそれとして、
黒船レディこと水林史さんの声を
薬師丸ひろ子みたいだ」と指摘したひともいて
なるほど、あの感じ、
今の時代、他にはあまりないと思う。


音程の抜群な薬師丸ひろ子


器用ですよと歌い上げるのではなく
むしろぶきっちょなほど誠実に
胸を張って歌っている。


彼女がもしかして
「少しだけやさしく」とか歌ったら
会場の男子は全員ポッと赤い顔になるかもしれない。


「女」という字を
わざわざひらがなで「おんな」と書くような
ジャズ・シンガーにありがちな生き様過剰の
くさい匂いが
彼女と銀星楽団にはない。


それはきっと
小さな箱にすんなり収まった単なるかわいらしさ以上の
大きく世の中に届く“武器”になりうるはずなんだ。