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なにかあり/とくになし

川島よしおの“らしさ”とは

川島よしおの漫画が好きだ。
やっぱり好きだ。


東北のある温泉にある
女子高生が部活で運営する旅館を舞台にした(なんだそりゃ)
連作4コマ漫画「PEACH!」(まんがタイムコミックス)の2巻が
ようやく出たのだ。


いや〜待った。
ただでさえ月イチ連載で
4コマ4ページだからね。
普通のコミックスよりは薄めの造本とはいえ、
時間がかかります。


うれしいことに
今回はオールカラー版だった。
それなりに需要があるということなんだろう。


去年出た「おちけん」は
相当な傑作だったと思うのだが
残念ながらそれほど話題になったとは言い難い。


落語の世界に造詣が深く
イキや恥じらいを本質的に察知していて、
その割にオタク的なうんちくも
シニカルに処理せずにさらりと披露できるその幅広いセンス。


そして
4コマとして簡潔にオチをつけながら
連作をひとつの大きな物語として構成する
ストーリーテラーとしての才能も申し分ない。


絵もやけにうまいしかわいい。


でも実は
そういうもろもろの要素が
川島よしおの作家性を
一般的な意味でわかりにくくしているのかもしれないとも思う。


器用な貧乏と言うかさ。


しかし
器用で貧乏だろうがなんだろうが
川島よしおには今の作風のままで
一点突破を狙ってほしい。


PEACH!」には
「おちけん」ほどの感動はないけれど
笑いとせつなさとはじらいとナンセンスの
巧みな融合という意味での川島よしおらしさは
相変わらず濃厚だ。


その“らしさ”を何と言おう。


ギャグじゃ一味足りないし
ユーモアじゃほのぼのしすぎてるし
ペーソスじゃひとがよすぎる。


まあ
とりあえずおもしろけりゃいいか。
固いこと言うなよ。
元魚屋さんだという経歴もいい味だ。
応援しています、心より。