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なにかあり/とくになし

21世紀の11年目、裏道でハナモゲラ語を聴いた昼下がり

2、3日前の話。


昼過ぎに
かかりつけの病院に行こうとして
アパートから裏道に出て歩いていた。


この道沿いには
中学校があって
ときどき下校途中の学生たちに出くわす。


その日も
何人かの男の子たちを
門を出たところに見かけた。
背格好からしたら一年生かしら。


ところが
その少年たちに近づいてゆくにつれ
ヘンな気配がただよいだした。


なにがヘンって
彼らが話している言葉、
どうも日本語じゃないのだ。


よく見ると
4、5人の男の子たちは
校舎の2階から顔を出している友だちと
会話しているのだとわかった。


2階にいる男の子もまた
不思議な言葉を話していた。


空耳で再現すると
こんな感じだ。


「しゃわしゃしゃひゃひゃひゃ?」
「わしゃしゃすりゃねこるにゃにゃ!」
「はじゃもひがのら、ねくんとそ!」
「しゃばばしゃりしゃけ、すにょんすらびしゃ?」


はて?
これは現代のハナモゲラ語


この子たちは
タモリが昔そんな芸風だったなんて知らないだろう。
下手したら
この子たちのお父さんたちだってあやしい。
父親が、ぼくより年下でもおかしくないんだから。


「しょりしゅしゃ、くきゃくにょねらねら!」


2階の男の子が
ひときわ大きな声を出した。


「ひゃぶとねくじゃぺっちょ、すきゃりずれんば!」


道ばたから
彼らが答える。


彼らのうしろを通り過ぎながら
ついニヤニヤとしてしまった。


すると
ぼくの気配を察知して
恥ずかしくなっちゃったのか
ひとりの男の子のハナモゲラ語
「しゃびゃぼげふげふ、わじゃいみなんかわからんて!」と
語尾が日本語に戻ってしまった。


ごめんごめん、
野暮な笑みだった。
こういうときは
「わけのわからんことしよって!」と
おとなはわかってくれない、な感じで
仏頂面のまま通り過ぎなきゃね。


ルール違反でした。


21世紀の11年目、
裏道でハナモゲラ語を聴いた昼下がり。