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なにかあり/とくになし

マロニーラブ

“マロニー”というもののことを、かなり大きくなるまで知らなかった。
少なくとも実家の九州に居た18年間は、知らずに過ごした。
マロニー童貞。


知り合いの家での鍋にお呼ばれしたときだっただろうか。
あの、透明でもちもちした不思議な麺類に出会ったのは。
糸こんにゃくと違い、こいつは汁を吸う。
そして成長する。
さらに、ある時期を過ぎると、だらしなくなる。つまり、のびる。でも、そこからも旨い。


そのときは、名前を“葛切り”と教わった。
のちに“葛切り”と“マロニー”は、ほとんど同じものだとも教わった。
名前としては、“葛切り”の方が、明らかに高級感がある。
だが、こいつに“マロニー”と名付けたひとの気持ちもよくわかるというか。
だらしなくなって以降の方に気持ちが行ってるのだ。
まろやかマロニーである。
案外、担当部長の子供とかだったりして。


ひょっとして、高級“葛切り”業界から、
「葛切りをマロニーと呼ぶべからず」なんて抗議がかつて激しく行われていたりして。
何者にも屈しない強い意志で「これはマロニーなんです! これが未来の言葉なんです!」とか主張してたりして。
マロニーなのに。


また、“丸焼き”のときのように、“マロニー”でこのブログを訪れる人がいるのだろうか。