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なにかあり/とくになし

スライをサプリしたい

からだが疲れてくると、スライを聴きたくなる。
スライ・ストーンのことである。
「スペース・カウボーイ」が今聴きたい。


『暴動』というアルバムは、ドラッグにどっぷりハマったスライのバッド・トリップを表現しているなどとよく言われる。
まあ、どう考えても、煙くさい。
たぶん、スライはとても疲れていた。
“くたくた”という音がしている。
だが、その“くたくた”な状態でする徹夜明けのバカ話がやけに面白い、みたいな。
弛緩しきった状態で、不意に走る感情の痙攣、みたいな。
おならが面白い音がした、みたいな。
そのユーモアに救われるのかもしれない。


全体の、曇った不鮮明なサウンドも、素敵だ。
リマスターなんか望むな。
オリジナルのアナログ盤を探して聴け。


ところで、この「暴動」のときに、スライの話し相手というか、一緒に“くたくた”な状態で笑っていたのが、ボビー・ウーマック
スライが録り散らかしたアイデアの断片を、作品にまとめたのは彼だとも言われている。
ジョージ・ベンソンで有名な「ブリージン」は、ちょうどボビーが『暴動』の時期に書いていて、ガボール・ザボに渡した曲だ。
どうして、ときどきこの曲が無性に聴きたくなるのかが、そのときわかった。


はっぴいえんどの「空色のくれよん」からスライの「スペース・カウボーイ」に続けて聴くのも気持ちいい。
ヨーデルつながりだが、実は、原曲に滲む気分もつながっているのが透けて見えたりする。
さらにそこから「ブリージン」へ。


10月も今日でおしまい。