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なにかあり/とくになし

サン

携帯にメッセージ一通。


>きょう渋谷でceroのライブなんですけど、
ドラムの柳が抜けるので今の編成が最後なんです。


前後は私信につき略すが
話には聞いていた柳くんの脱退が
意外と早く来たということに驚き、
とりあえずお店や原稿のスケジュールも考えずに
返事した。


>何とか行きたいと思います。


そのハコは
ワルシャワがあったビルに近い
宇田川町の地下にあった。
こんなところに
ライヴ・スペースがあったんだ。
都市の落とし穴みたいな場所だと思った。


その落とし穴みたいな店は
内装は京都の磔磔とか拾得を思わすもの。
名前はWasted Timeと言ったかな。


この夜
ceroは4人だった。
サポートのDJシラフさんがいない状態でのceroを見るのは
実は今日が初めて。


たまたまなのかもしれないし、
柳くんの最後のライヴにあたって
cero本体というか
足し引きのないceroでやりたかったのかもしれないし。


今までに見た
どのceroのライヴよりも
エモーショナルで
ほころびも多い演奏だったけど
いろいろな場面で
ぼくの心は揺らいでしまった。


全然関係ないのにさ。


ドラマーがバンドを辞めてしまうというのに
彼らは新曲を作った。


その曲を
高城くんは「サン」と紹介した。


太陽の「サン」?
1、2、3の「サン」?
そして
新しいドラマーを迎えて
今後も活動は精力的につづくけれど
とりあえず
ceroを支える単位が「ヨン」から「サン」になる「サン」?
それは考え過ぎか?


どれが正解なのかわからないけど
すこしも湿っぽさのない
そのポップな新曲を
ぼくは興奮しながら聴いた。


ハードなシメキリを抱えていたこともあり、
ceroを見届けるとすぐに会場を出なくてはならない。
まったく無粋な客で申しわけない。


気がつくと
いつもより早足で歩いていた。
それは急いでいるからだけじゃなくて
きっと
今見たもののせいで
ドキドキしていたからだろう。