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なにかあり/とくになし

音楽ガン

医師「告知します。あなたは音楽ガンにかかっています」


患者「えー? 何ですか、それ? 初めてそんな病気聞いたんんですが」


医者「特にリズムが冒されていますね。このままでいくと、徐々にリズム感が悪くなり、やがて完全にリズム感が失われるでしょう」


患者「マジですか? 確かに最近、DJのとき、“つなぎ”が悪くて。このままだと、何拍子かすらわからなくなっちゃうんですか?」


医者「はい。さらに病状が進行すると、メロディも失われます」


患者「その先はどうなっちゃうんですか?」


医者「そうですねえ。音楽がわからなくなるでしょう。“音楽”から“楽”が抜けて、ただの“音”にしか聞こえなくなります」


患者「ブルルルルル(震え)。そりゃ困ります。確かにもともとリズム感はそんなに良くないけど、ぼくも一応、音楽ライターのはしくれですから。何とかしてください」


医者「他の部位に転移しないよう、切除するのが手っ取り早いですね。そして、血縁者からの提供を募って、リズムを移植するのです」


患者「そうしないと助からないんですね?」


医者「はい。実はさきほどあなたのお母様とお話しまして、すでに移植の許可をいただいておりますが……」


患者「いや、うちの母親はド演歌しか聴かないんだから、勘弁してください。何か他に方法は無いんですか?」


医者「そうだなあ……(ガサゴソと奥の棚をあさる)……、あ、人工臓器ありますよ。ほら」


患者「それ、メトロノームじゃないですか!」


(以下、続かない)


締切に追われているときに限って、どうしてこういうことが書きたくなるのか。