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なにかあり/とくになし

いよいよ10大ニュースも後半へ

ひょんなことで、昼から九段会館
予期せぬ出会いあり。
夜は名演を味わう。


そこから吉祥寺。
サケロック忘年会へ移動。
中央線で人身事故があり、電車が大変遅れ、
着いたときには、もうお開き。
大関監督に、遅刻を大変恨まれる。


カクバリズム忘年会に流れる一座と別れ、帰宅。
風呂に入り、しぼむように寝る。


10大ニュースも、今日からトップ5。
緊張してまいりました。


第5位
あのバンド名が思い出せない


夏の暑い晩、
吉祥寺の曼陀羅にマダムギター長見順を見に行った。


その日は、ピアノの吉森信(元ヒカシューモダンチョキチョキズ)とのデュオ。
大変にしびれた。


でも、第5位は残念ながら長見さんではなくて。


彼女の前に出演していた、謎の3人組。
RCサクセションに影響を受けたと思われる、やんちゃなヴォーカリスト(タンクトップ)。
「雨上がりの夜空に」風のメロディをひたすら吹くサックス奏者(グラサン)。
チャボ風のリフを延々と弾くギタリスト(楽器少年風)。


3人だけで、架空のロックンロール・パーティーを繰り広げる、ハタ迷惑な連中を見た!
正確に言うと、地元の知り合いらしき客層が5人ほど居て、
周りのムードなど関係なく局地的に大騒ぎ。
テニスの壁打ちのごとき、コール&レスポンスを繰り広げる。


ああ、オリジナリティのない名曲群が思い出せないよ。
確か、「汗びっしょ〜りぃ〜」(サックスぶぼ〜)というサビを繰り返すサイアクな曲があって、
それをひたすら10分ぐらいやるのである。
清志郎の歌詞やソウルから、悲しみや豊かさをすべて取り除いたような、すべりすぎた熱演だった。


でも何故だろう?
あの、熱くて寒い感覚をシャットアウト出来ないのは。
早く終わってもらって、マダムギターが見たいのに、心のどこかで愛おしい。


忘れてしまいたいのに忘れられない、
だけどバンド名はしっかり忘れてしまった彼らが、
今年の第5位である。


ついでに、サケロックで思い出したが、
彼らのライヴを初めて見た吉祥寺スターパインズ・カフェで、
サケロックの前に演奏したバンドのことも、ときどき思い出す。


ヴィジュアル系+忍者風のコスプレで、
音の方は、江戸風のメタル歌謡だったような……。


ヴォーカリストの名前が“刃(やいば)”で、
自分の一人称も“刃”。
「刃はこれからも頑張ります」とかMCしていた。


また、ドラムの前に落語のネタめくりと同じように曲目表が置いてあり、
刃がいちいちそれをめくってから次の曲に入るという演出だったのだが、
あるとき、それを忘れて演奏を始めてしまった。


どうする? どうする?
ドキドキして、見てられない。


明らかにベーシストは、その異変に気付いていて、
チラリ、チラリと横目に見るのだが、
なにしろベースだ。
手を放すヒマがない。


だが、間奏に入り、ギタリストがソロを始めた瞬間、
やつはこそこそっと動いた。
瞬間的に、さりげなく、めくる。ぺらりんと。


お前、目立ちすぎだよ!


奇跡は、ときどき、どうでもいい場所に宿る。


そのバンドの名前も、どうしても思い出せない。
あの瞬間は、忘れられないのに。


あの日、そのあとに出てきたサケロックで、
ハマケンはうさちゃんの被り物をしていた。
おれはいったい、何を見にきたんだろう?と思った。
今でも、ちょっと懐かしい気分になる。