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なにかあり/とくになし

マエタケを読む(途中)

今日から“風呂本”(文字通り、風呂場で読む本)を、
前田武彦「マエタケのテレビ半生記」(03年)にした。


ちょうど先週、NHKラジオの山本晋也カントクがホストを務める番組にマエタケさんがゲストで出ていた。
どうもあんまり元気がない(というか暗い)様子だったが、もう76歳だということだ。
しかし、その暗さは、ひいては氏のクールさ、というか、業界への距離の置き方なのかもしれない、と思わせるフシがある。


そう言えば、ちょっと前に、マエタケの本を買ってたよなと、引っ張り出してみたのだ。


かつての人気放送作家、人気タレントの自伝としては、あまりにもそっけないタイトルが、
すでに前田武彦という人物のスタイリッシュな哲学と、
テレビ業界との冷めた距離感を何か物語っているようではないか。
「ゲバゲバ70年」などと、はしゃいだりはしないのである。


現在の巨泉、青島へのやんわりとした批判(ジェラシーもしっかり認めつつ)、
永六輔へのシンパシーなどが、ときおりのぞく。
この暗さは、ぼくには信頼出来るものだ。


まだ本の半ば。
1960年代が終わり、
そろそろ「ゲバゲバ90分」や「夜のヒットスタジオ」の放送が始まるあたりにさしかかったところだ。


その時代の気分にまみれたまま、もひとつご紹介。


ビクターから発売になったばかりのCD『SOFT ROCK DRIVIN' 空と海とわたし』、
監修・選曲の濱田隆志さん(土龍団)には嫉妬するしかない痛快痛烈な選曲。


もっと痛烈なのは、同時発売のDVD。
和製ソフトロックのビューティフルな名曲(半分ほどがCDには未収録)をバックに、
70年代初頭の名車、スポーツカーが峠を走る。
ただそれだけ。
なのに、何て美しい組み合わせ。


このDVDに世界で一番しびれるのは、クレイジーケンバンド横山剣さんだと断言する。
いすゞのベレット1600GTRもちゃんと出てくるし。


こういうのは困る。
シメキリ前の罠じゃないか。