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なにかあり/とくになし

フランク・ミルズ

フランク・ミルズ
カナダ出身のピアニストで作曲家。
ポップス・グループのベルズでデビュー。
脱退後、ソロでイージーリスニング路線に転じ、
1979年には「愛のオルゴール」が全米3位の大ヒットとなった。


「愛のオルゴール」と言われても、
もはやたいていのひとはピンとこないだろう。


しかし、そのメロディを聴くと
パブロフの犬のように
何故かそわそわとしてしまう人種が
日本の多摩地区には存在する。


それは競艇ファン。


多摩川競艇場
レース前の投票閉め切り間近を知らせるメロディが
「愛のオルゴール」なのであった。


丁寧なことに残り3分と残り1分の二段階で
ずんずんとテンポアップし、
ひとびとの胸と競艇脳をざわつかせる。


レース期間中は
多摩川競艇場では
毎日12回フランク・ミルズ
「愛のオルゴール」が流れる。


居合わせたひとびとは
そのメロディに
いやがおうでも耳を澄まさずにはいられない。


ころころと転がるピアノの甘美な調べが
地獄への誘いにはよく似合っているのだ。


そんな愛され方をしているなんて
フランク・ミルズ本人は
一生ご存知あるまい。