はじめてのDJたいけん

今にして思えば
ぼくの人生で最初のDJ体験というのは
30年ほど前のことだったかもしれない。

小学校も三年生になってクラス替え。
それがきっかけで親しくなったT君の家は
歩いて10分ほどのご近所さん。

よく遊びに行くようになったある日、
居間に置いてある家具調のシステムコンポを発見した。

ふらふらと引き寄せられ、
そこに置いてあった一枚のシングル盤をかけた。

黒沢年男の「ときには娼婦のように」。

T君を観客に迎え、
そのシングルをひたすらかけ続けること数十回。
飽きてきたら回転を33回転に変えてみる。
さらに、T家のプレイヤーには
珍しく16回転や78回転もあったから、
当然それも試す。

部屋の中には
むなしい色気を振りまく男、黒沢の歌声が
むにゃむにゃと伸び縮みを繰り返しながら
爆音で鳴り響いていた。

ばかばかしい人生より
ばかばかしいひとときがうれしい、と……。

同じころ、
自宅では「4チャンネル・ステレオ用試験レコード」をかけながら
弟とこたつの周りをぐるぐると鬼ごっこするのが流行っていた。

そのレコードに入っていたのは、
浅丘めぐみ「私の彼は左きき」
ホット・バター「ポップコーン」
ジョン・バリー「野生のエルザ」。

その3曲は
今でもぼくが人前でレコードをかけるとき
頭の中で反射的に流れているような気がするのだ。

というわけで
今週末はDJをします。

9月1日（土）「Audience! 」（第2回）

【DJs】
内田靖人
原田伸彦
樺澤衝一
藤瀬俊
松永良平

【場所】
代官山eau cafe
Tel 03-5728-2839
※チャージはありません。開催時間は夕方〜終電まで。

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訂正を一件。

昨日のエイプリル・マーチで
「プレヴェールに捧ぐ」という曲で
ジョナサン・リッチマンが参加していると書きましたが、
正しくは「Le Temps de L'Amour」という曲でした。
すでに訂正済みですが、
あらためましてご報告しておきます。