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なにかあり/とくになし

エイプリル・マーチのこと

タランティーノの新作映画
デス・プルーフinグラインド・ハウス」のサントラで
エイプリル・マーチの「チック・ハビット」が
使われているという。


まだ映画を見たわけでもないのに、
サントラの収録曲にその名前を見ただけで、
「ギャッ」と目を射抜かれ、
その銃弾が鼓膜を打ち破って耳から外に出た気がした。


エイプリル・マーチ。
90年代半ばのロサンゼルスを闊歩した
孤高のイエイエ娘。


タランティーノが選んだのは
彼女がセルジュ・ゲンズブールの楽曲を集めてカヴァーした
「Chick Habit(チック・ハビット)」というアルバムのタイトル曲。
ゲンズブールに恋して」というタイトルで日本盤も出た。
フランソワーズ・アルディが歌った
「Le Temps de L'Amour」という曲のカヴァーでは
ジョナサン・リッチマンがギターを弾いている。


同じくロサンゼルスで活動し
現在日本でも人気の高い戦前ジャズ娘、
ジャネット・クラインに対しても、
ぼくはエイプリル・マーチを透かして見て、
ジャネットの満たされたムードに
ちょっとばかし不満を感じるときがある。


エイプリル・マーチは
やせたメス猫のように気高い。


アメリカで誰もフレンチ・ポップなんて言わない時代に
彼女がしたことは遅れすぎてて速すぎた。
生意気で、新鮮だった。
10年経って、
そのことをタランティーノが証明しようとしている。