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なにかあり/とくになし

最短と最長の夜

イギリスの雑誌「Uncut」をパラパラめくっていたら、
「本誌が選ぶロック史上最低のギグ、ワースト15」
という企画があった。


1位は
デヴィッド・ボウイ
1987年のロンドン・ウェンブリー・スタジアム公演だそう。


最低という意味とはちょっとズレるが、
ぼくが見た“最短”のライヴのことを思い出した。


90年代後半の新宿リキッド・ルーム。
オールナイトで行われたデ・ラ・ソウルのライヴ・イベントでの出来事。


演者はかせきさいだあ。
断っておくがこの話、かせきさいだあに罪は無い。


一曲目が始まったときから、
フロアの前方で女性客グループと男性グループに
なんだか雲行きのおかしい小競り合いがあった。
理由はわからないが、
曲の終わり頃にひとりの女が悲鳴を上げた。


おそらく一段高いステージから
その客席で何が起きていたのか
まる見えだったはずだ。


かせきさいだあはイリシット・ツボイに声をかけると
さっさと退場してしまった。


一曲で3分もなかったような気がする。
オムニバス・ライヴで、
もともと予定が一曲ずつとか、
そういうケースを除けば、
おそらくこれが一番短かったかなと思う。


あっけに取られた感覚という部分も
大きく作用しているのだけれど。


ちなみに、その同じ夜、同じ場所で
シークレットゲストで登場したフィッシュマンズ
大作「ロング・シーズン」だけを演奏し、
こちらは一曲40分で去って行った。