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なにかあり/とくになし

何も始まらないってことが始まった漫画

大阪芸大時代の自身(庵野秀明と同級生)を描いた
島本和彦の自伝漫画「アオイホノオ」(小学館)が
ようやく単行本にまとまった。


連載といっても
ヤングサンデー」への掲載は
まるで忍者のように神出鬼没だったから,
こうしてまとめて読めるのは至福。


涙なしには読めないだろう知り合いが
ひとり,ふたり,三人……,
あ,おれも入るか。


一巻で完結ではなく,
まだまだしぶとく続くというのもうれしい。


なんたって,
まだ主人公(島本の投影),
まだ何も始めてないからね。


何も始まらないってことが始まったばかり。
空回りを描かせることに関して
島本和彦は天才の領域をとっくに越えている。


赤坂で昼間取材があったので,
そのあと中野の弟が昨日ブログに書いていたつけめん屋で
昼食(つけめん並盛)にしたのだが,
アオイホノオ」を読んでたら
鼻水を吹き出しかけて困った。


あ,それ
おもしろいからじゃなくて,
図星を避けるようにして
心のどっかから流れだす涙の変形かもしれんね。