mrbq

なにかあり/とくになし

ガンダムとぼくの分かれ道とは

週末のイベントの打ち上げで
瞬間的に話題がガンダムになった。


ひとは何故ガンダムを愛するのか?
それは論じない。


ぼくは何故ガンダムを愛せないのか?


その分かれ道は
小学生のころ。


福岡に住んでいた同い年のいとこが
春休みに熊本の我が家に遊びにやってきた。


二人兄弟の彼らは
ぼくの兄とぼくと歳も一緒ということで
さいころからお互いの家によく行き来していた。


その年の春、
いとこ(弟の方)が家に着くなり
「聴かせたいものがあるんや」と
ぼくをラジカセのある部屋へと連れていった。


彼は一本のカセットテープを取り出すと
慎重にラジカセに収納。
再生ボタンを押した。


聴いたことのない歌が流れ出した。
何かのアニメだろうか?


「これ、ガンダムの最終回や!
 一緒に聴いてや!」


それは「機動戦士ガンダム」の
俗にいうファースト・シリーズの最終回を
テレビの前に置いたラジカセで
音だけ録ったテープなのだった。


シンとした部屋の中で
セリフとか爆発音だけが
淡々と流れた。


あのー……、
ガンダム、熊本でやってないんで
全然わからないんですけど……。
アムロとかララァとか……。


と、口には出せないまま
20数分が経過。


「どや?」という
いとこの問いかけに
何と答えたかは忘れてしまった。


思えば、
あれがぼくとガンダムとの
さりげなくも痛恨のトラウマ。
大きな大きな分かれ道だったんだー!


その数ヶ月後、
熊本でもようやくガンダムの放映が
一年遅れで始まったが、
部活でサッカーを始めたいとこは
さっさとガンダムなんか卒業してしまったよ。