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なにかあり/とくになし

彼の音楽

漫画好きという人種は
好きな作品のことをずっと追いかけ続ける忍耐強さはあるくせに
欲深さも持ち合わせている。


読んだことない漫画、
知らない世界の物語を
もっとおれにくれ。


入江亜季群青学舎」1〜2巻(BEAM COMIX)は
そんな強欲な漫画ファンの心理を
がっちりとらえた作品集だった。


現代あり、外国あり、中世(?)あり、
時代背景も
物語の展開にも
共通点はほとんどない短篇集。


しいて言えば、
何か(誰か)を好きになること、とか。


中には3回連作とか、
5回連作もあるのだが、
じっくり描けばしっかりとした長篇になりそうな題材でも
切り上げて次に進む。


説明足らずでとまどったりする部分もあるけれど、
そうした不確かさもはらみつつ
ページをめくらせ続ける。


その結果として
余韻を残すことも漫画好きのツボだと
たぶん知っているんだな。


萩尾望都のようで
オノ・ナツメのようでもある
少し懐かしさをはらんだ
丁寧な画風も好きだ。


2巻に収録された「彼の音楽」を
気に入っていると書けば音楽ライターっぽいだろうか。
「先生、僕は」も好きなのだと言ったら失格だろうか。


このひとに
何かレコードのジャケット
描かせられないか。