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なにかあり/とくになし

海南記漂流奇譚

日付は少し戻って
結婚パーティーの夜。


三々五々と横浜をあとにして
乗り換えしながら阿佐ヶ谷駅


MU-STARSというDJチームを組む男と
中杉通りの店(主に食事処)を
ああでもないこうでもないと品評しながら帰り道。


小腹が空いたと
行きつけの中華料理屋「海南記」にしけこんだ。


そこで不意に盛り上がったのが
ヒップホップ話。


10年以上昔、
ぼくが体験した中古アナログ買い取りの
新大久保、謎の中年から、
ヒップホップ、レア盤12インチ5000枚の奇跡について。


グランド・プーバ(最高!)なんて名前
21世紀に入って初めて口にしたかも。


飲み干されたグラスと
空になった皿だけが
その話を聞いていた。


「海南記」は
その日、
ぼくたちが流れ着いた最後の島。


深夜のヒップホップ・パーティー
口だけを使って行われていた。