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なにかあり/とくになし

その汗は我が身の冷汗、脂汗

イエス小池「漫画家アシスタント物語」(マガジン・マガジン)は
おそろしい本。


ジョージ秋山の専属アシスタントを
30年以上にわたって務めた作者の実人生、
「夢の廃材置場」(著者自身の表現!)がここにある!


実名を隠してブログで連載されていた文章を
まとめたものとのことだが、
単行本化にあたって、
それらのモザイクもかなりクリアーになり、
リアリティという意味ではこのうえない内容になった。


主人公である小池氏の時間の浪費や怠惰に対し、
その淡々としたリアルさに
思わず手に汗をにぎる。
その汗は我が身の冷汗、
そして脂汗だったりする。


ときどき挟み込まれる
「漫画家アシスタント物語 血の教訓」という標語の数々が
「この先行き止まり」の標識に見える。


ひょうひょうと描かれているのに、
頭が重たい。
それは身につまされるという意味の重たさなのか。


巻末に掲載された
氏のデビュー作「雨のドモ五郎」が
何かを解放してくれているように思えて
ぼくは泣いた。