真夜中、中野通り、公園の手品師
夜更け。
したたか酔って
タクシーに弟たちと相乗りする。
車は中野通りに入り、
げたげたと笑っていると
ラジオから聴き覚えのあるメロディが。
その曲は
フランク永井の「公園の手品師」。
どうして聴き覚えがあるかというと
つい先日行われた長谷川きよしの
公開ライヴ・レコーディングで
歌われていたからだった。
「ラジオ深夜便」午前3時台は
「にっぽんの歌こころの歌」。
偶然とはいえ、ナイスチョイス。
それともこの番組にかかわるどなたかが
あの場所に居合わせたかしらね。
坂本九に言わせれば「ステキなタイミング」
シュガーベイブに言わせれば「すてきなメロディー」。
歌がマヒナスターズに変わるころには
運転手さんは
ぼくたちに気付かれないように
小声で歌い始めていた。
もっとそのハミングが聴きたくて、
その歌声に気がついたと悟られないように
ぼくたちはますます
バカ話のヴォリュームをあげていったのだった。