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なにかあり/とくになし

ハプニングス・テン・イヤーズ・タイム・アゴー

少し前、
音楽書籍やインディーズのCDなどの流通を扱う
●●●という会社が倒産したというニュースを聞いた。


その会社の名前には
深い聞き覚えがある。


1998年、
ぼくたちは●●●の門を叩いた。


リズム&ペンシルの創刊に好意を持ってくれていた
あるレコード店のバイヤーさんから
「うちで扱うには●●●を通さなくてはいけない」と
聞いていたからだ。


●●●の部長と名乗る人物は
企画書と
そのときに出来ていた誌面の断片をぱらぱらと見てこう言った。


「これは素晴らしい。
 うちで四千部は引き受けられるでしょう」


その話に
やったぜと喜んで
印刷所に部数の追加を発注したのが
今にして思えばウブもよいところ。


本の出来上がりを目前に
確認のためもう一度●●●を訪れた。


前回とは違う若い社員が対応し
ぼくたちに書面を渡した。


発注は四百部だった。


「それは▲▲さんが勝手に言ったことじゃないですか?」


またおまえらも真に受けたのかと
その顔には書いてあった。


怒りよりも
インチキおやじの
根も葉もない保証を信じた自分への
恥ずかしさで顔が真っ赤になった気がした。(この話、つづく)