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なにかあり/とくになし

池袋喫茶奇譚の続き

(昨日までのあらすじ)
池袋をぶらぶら歩いていたら
「コーヒー、5円」の貼り紙と矢印につられて
店の前まで来てしまった。


おずおずと店の中に入ると
テーブルが2つほど。


店主(中尾彬似)は
「うちはBGMは数万曲」
と言って、
何やらプログラムを渡した。


有線のチャンネル表じゃん!
とは口に出しては言えません。


「コーヒーは普通のと、5円のと、あるよ」


そう言われても
店内に厨房らしき場所は見当たらないのだ。


普通のと、5円の。
不穏だ。


壁にはホワイトボードがあり
殴り書きを消した痕跡がある。


おずおずと、
5円のを注文する。


男は「ほお」と
感心ともため息ともつかぬ声をもらし
奥に消えた。


で、ここで続きにしようと思ったけど、
オチもつけちゃえ。


男がお盆に乗せて持ってきた5円のコーヒー。


それはネスカフェと砂糖、
そしてお湯の入った魔法瓶だった。


ネスカフェ、砂糖は注ぎ放題!」


ただし、おかわりは有料なんだって!


それから、2週間ほどして
ふたたびその店を訪れると
周囲に貼り紙はなく、
固く扉が閉じられていた。


あのコーヒー、もう一回飲みたいな、って、
いつでも飲めるよ!