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なにかあり/とくになし

「あの人に会いたい」

遅い晩飯を食べながら
ザッピングをしていたら、
いきなり中島らもさんの顔が大写しになって
おどろいた。


NHKの番組で
「あの人に会いたい」。


このタイトルはどうかと思うが
貴重なアーカイヴ映像を使っていることもあり
「気に入らねえな」と思いつつ見入ってしまう。


80年代終わりの映像では
らもさんも
いとうせいこうさんも若い。


せいこうさんは
DEP'TのロングTを着ていた。


亡くなった従姉が
大阪にいた若いころ(たぶん80年代)に
らもさんの事務所の手伝いだったか
らもさん関係のラジオ番組制作会社での仕事だったかを
していたと聞いたことがあった。


詳しく問いつめる機会がなかったことが
悔やまれる。


見ているこちらが気持ちをえぐられたのは
やはり晩年の映像。


49歳というから
亡くなる3年ほど前(2001年ごろ)の映像だと思うが、
すでにその視線はこの世ではない場所を見ていた。


薬物やアルコール依存や持病の悪化からか、
口には歯もなく、
視力もほとんど失われていて、
気力というものも感じられないのに、
そのおぼつかない口元からろれろれと出てくる身勝手な言葉が
かけがえなく思えるのは何故か。


そのもうろうとした言葉で語られた、
市井のひとたちの中に
天使はいるという話にシンクロしたインタビューを
つい最近どこかで読んだ気がする。


それにしても
49歳にして
あの現世感の無さ。
あそこまで行くのは
難しい。


行かないほうがいいに決まってるだろ。
あいつは時代から落っこちたんだ。
まわりがどれだけ迷惑を受けたか。


そんな声が頭の中でチクチクとする。


その声の主(天使か悪魔か)が薦めるささやかな幸福感を
「やかましい!」と撥ねのけられない、
その代わりに
ぼくはきっとわるい夢を見るだろう。


昨日のブログで、
轟渚の
CD「いますぐに」を聴いたあとのことを
書いていなかった。


たぶん彼女も本物のひとり。
歌も声もメロディも。


でもまだ
まかないきれてない部分はある。
少なくとも
彼女は“生活感”以上の世界を描こうとしているから。


CDには、まだ3曲しかない。
その余白が広い分、
期待してます。