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なにかあり/とくになし

夜の柳

雨模様だが
まだ梅雨じゃないのか。


ハイファイに臨時でお休みをいただき
原稿をひたすら書く。


昼間、
高円寺で取材一件。
インタビューしてみたかったひと。


コワモテかと思っていたら
好青年だった!


その後、
また家に戻って
別の取材のテープ起こし。
まとめまで終えられるかというところでタイムアップ。
横浜に移動しなくてならない。


ダン・ヒックス&ザ・ホット・リックス@横浜サムズ・アップ。


齢68歳のダン・ヒックス
前の来日より
若干目方がアップした気もするが、
それをひとは貫禄と呼ぶのかもしれない。


貫禄が増すと
普通は音楽も重くなったりするものだが、
このひとの場合は
逆に軽くなっていた。


軽くてしなやか。
うしろの方で見ていた誰かが言っていたが
「あのひと、ほとんどのことは
 どうでもいいんだろうね」
そんな風に思わせる物腰。


ふわふわではあるが
へなへなではない。
とぼけているが
ぼけてはいない。
コメディではあるが
媚びてはいない。
気まぐれではあるが
身勝手ではない。
不謹慎ではあるが
不親切ではない。
パーティーではあるが
しゃかりきではない。
ルーツ・ミュージックではあるが
お勉強ではない。
ジャズではあるが
まじめではない。
シンガー・ソングライターではあるが
自分に酔いはしない。


このひとの
人生を賭けた粋と軽さを表現するのに
ふさわしい言葉はなんだろう?
いろいろ考えてみて
一番ぴったりと来たのはズバリ、


柳!


シラフで歌ったトム・ウェイツのカヴァー
「マイ・ピアノ・ハズ・ビーン・ドリンキン」で
本編を締めくくったのにはおどろいた。


トム・ウェイツ
麻田浩さんがトムズ・キャビンを設立し
アーティストの招聘を開始したごく初期の1977年に
ピアノ弾き語りで来日した。
今ではほぼ不可能と考えられている彼の来日が
あの時代に実現していた意味は大きい。


ダンがこれを最後にやったのは、
今回限りで
しばらく海外アーティスト招聘を見合わせるかもしれないという
トムズ・キャビンへのトリビュートかしら?


しかし、
夜風にそよぐ柳のような歌いっぷりは
そういう深読みの感傷を拒否するものだ。


イタチの最後っ屁を愛する男ダン・ヒックスから
トムズ・キャビンが強力なエールをもらったと信じたい。


本編終了後、
熱烈なアンコールに応えて楽屋から出てきたダンの
決してへらへらとうわついてなんかいない、
ひとを喰ったようなむっつり顔と
コーラス隊のおねえちゃんふたり(リケッツ)との
力の抜けたダンスを
遠くから見ているだけで、
いろんな感情が襲いかかってきて
ぼくはじーんとしびれたのだった。


さて、
話は変わって
6月6日(土)の話!


6/6 (sat)
『encore !』
DJ’S :内田靖人 樺澤衝一 原田伸彦 藤瀬俊 松永良平
GUEST DJ’S : 小西康陽 常盤響 大江田信 and more


Start : 18:00
Charge : \1500(ドリンク別)
恵比寿Tenement


夜中までやってますので
お近くの方
お時間ある方
よい音楽が好きな方
お越しください。


松永は今回トップバッターやりますので。