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なにかあり/とくになし

あの頃川べりの従兄の部屋で

エスパー魔美」を初めて読んだのは
たしか母方の従兄の部屋。


小さな川べりにあったその家の2階には
エスパー魔美」のコミックだけでなく
土田よしこ「つる姫じゃーっ!」や
藤原栄子「うわさの姫子」もかなり揃っていたと記憶する。


おぼろげながら70年代の後半の話。


今回手に入れた藤子・F・不二雄大全集の「エスパー魔美」で
巻末に記載されたデータを見ると
1977年の1号から「マンガくん」にて連載とある。


「つる姫じゃーっ!」は
1973年から79年まで続いた人気漫画だった。


そうすると
だいたいぼくの小学2、3年生あたりと符号する。


母親に連れられてその家を訪れると
親同士の話には興味はないから
勝手に従兄の部屋に上がり込んで
漫画を読んでいた。


従兄はぼくより6つほど上のはずだから中学生。
部活動に出かけていたりしたかもしれない。
ぼくが覚えているのは
一時間でも二時間でもその部屋で
漫画を読んでいたということ。


あらためて考えると
従兄の趣味はずいぶん乙女チックではなかったか。
もっと少年らしい、中学生男子らしい作品が
あってもよかったのに。


それとも
年下の従姉(妹さん)もいたから
漫画は彼女の趣味だったかしら?


いや、
表に面した窓の大きな部屋は
従兄のものだったというのがぼくの記憶だ。


つまり結構
従兄は、ませていたということなんだろう。


今ごろになって
勝手に思春期の考察をされるなんて
迷惑もいいところだろうが、
よいものを教えてもらって感謝してますと
遠回しにぼくはお礼を言いたいのだ。


ところで
読み返した「エスパー魔美」の作品中で
魔美がテレキネシス
畳のケバを無意識にむしってしまうというシーンがあって、
さりげないひとこまなのに
激しく心を動かされてしまった。


F先生の天才は
こういうところに
まさにある。


そのエピソード「魔女・魔美?」が掲載された1977年12号のころ、
ぼくの無意識なわるいくせは
鉛筆のお尻をがじがじと
歯で噛んでしまうことだった。