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なにかあり/とくになし

CDが売れないという事実と幻想

巷間、
CDが売れないという話をよく耳にする。


音楽業界の最末端にいる者としても
考えることの多いテーマではある。


CDというメディアは
もうおしまいなのだろうか。


そうぼんやりと考えながら
googleに何気なく文字を打ち込んでみたら
おどろくべき事実が判明した。


以下、
googleトップページの検索欄に
「CDが」と打ち込んだときに
ずらずらっとスクロールで表れた検索候補を記す(2009年9月9日現在)。


主語はすべて「CDが」で、


認識されない 504,000件
焼けない 655,000件
聞けない 991,000件
再生されない 509,000件
売れない 1,570,000件
読み込めない 1,830,000件
取り出せない 263,000件
読めない 1,700,000件
出てこない 1,150,000件
再生できない 774,000件


検索上位順に並べ替えると


読み込めない 1,830,000件
読めない 1,700,000件
売れない 1,570,000件
出てこない 1,150,000件


さらに
「読み込めない」「読めない」「認識されない」
「聞けない」「再生できない」を
同じような意味のワードと考えると
合計で6,308,000件にもおよび、
「CDが売れない」という悩みの数の4倍超となる。


また
「出てこない」「取り出せない」(その冷や汗、お察しします!)を合わせると
1,413,000件となり
「売れない」に肉薄する。


「CDが売れない」という悩みは
まだまだ音楽ソフトを制作販売する側の問題でしかないのかもしれない。
世の中は
売る側が考えているよりも、
もっとずっとほのぼのと
音楽業界の凋落を見過ごしているのだということがわかる。


また
この検索候補には何故か最初から出てこないが
「CDが欲しい」で検索するとヒット数は20,000,000件。
「CDが買いたい」で検索すると11,900,000件。


「欲しい」は必ずしも有料での購買を意味しないので
「買いたい」に限定して「売れない」と対比させても
「買いたい」:「売れない」の比率は7:1。


単純に数字だけ比較することに
たいした意味はないとわかっていても、
何かこの比率に突破口は見出せるんじゃないかと
思ってしまったりした。


たとえば価格。
たとえば流通経路。
たとえば販売場所。


今日はBで始まる偉大なバンドの偉大な音源の発売日だが、
もったいぶった販売戦略や
限定生産で高額な価格設定は
おとなのファンにはともかく
子どもたちにはまったく何ひとつ響かないだろう。


現実にはとても無理だろうけど、
年齢が認証出来れば
中学生以下はBというバンドの曲は
無償で何曲か限定でダウンロード出来るというふうにするとか、
そろそろそういう次の世代への橋渡しを考える時期だ。


欧米では
リマスターCDと同じくらい、あるいはそれ以上の分量で
Bを題材にしたゲームソフト「ロックバンド」のプロモーションが
精力的に打たれている(日本では未発売)。


もちろんそれは
新手の商売の選択肢のひとつではあるのだが、
子どもたちという未来を見据えた間口がそこにあることも忘れてはならない。


結果的にそこを無視していることを
はらわたをえぐられるように
自分の痛みとして考えたり
しないでもいいのだろうか、ぼくたちは。


それともこんなたわごとは
幻想なのでしょうか。