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なにかあり/とくになし

「ネコのこころがわかる本」が必要な男のこころがわかるかい?

下北沢の南口を出て下っていると
古本屋のワゴンから
「おいおい」と呼び止められた。


と言っても
店主が声に出してぼくを呼び止めたのではなくて
ワゴンの100円均一本の表紙とタイトルが
ぼくの目を射たのであった。


マイケル・W・フォックス著「ネコのこころがわかる本」。


ハードカバーで
表紙のイラストが和田誠ふう(実際に手掛けたのは本信公久)というのも
実にチャーミングなのだが、
何よりもその身もふたもないタイトルが
ハートをバキュンと直撃。


そーそーそー、そーなんですよ、と
つかつかと歩み寄って
本を抱きしめるようにレジに向かった。


前に飼っていた黒猫はオスで
「この子はオスだから人間の男とは合わないのよ」と
ツマに言われていた。
今飼っているサビ猫はメスだが
なんだ、今度は女同士で気が合っているじゃないか。


だからぼくには
「ネコのこころがわかる本」が必要なんだ。
正直な話、本の中味なんてどうだっていい。
このタイトルに殺された。
「ネコのこころがわかる本」が必要な男のこころがわかるかい?


100円払って店を出ると
ちょうど向こうからO関監督とデザイナーのO氏が
歩いてくるところだった。


これから3人で酒を飲むのだ。


世間話や身の上話をするうちに
またもや話題が漫画になってしまう。


すると
O氏が漫画家のイシデ電さんと一緒に
酒を飲んだことがあるという事実が判明。


えーっ、マジですか?


イシデ電のことを語るとき
ぼくとO関監督は目がハートになってしまう。
ぼくたちの気持ちは大変に美しいのだが
40歳男と30歳男が目をキラキラさせている光景は
傍目にはなかなかに堪え難いものがあろう。
Oさん失礼しました。


荒削りである部分も含めて
生き死にを突き詰める感覚が素晴らしい「私という猫」。
意地っ張りな人間にしかわからない弱さが
意外なほどあたたかく描き出されて急所を突く傑作「月光橋はつこい銀座」。
家が火事になったらさっと持ち出せるところに
置いておかなくちゃいけない。


また漫画の話ばかりしてしまったと
反省しながらほろ酔い帰宅。


実は今週末、
初めて漫画家さんにインタビューをする機会を得た。
まさかまさかの手強い人物なので
すこし緊張して準備をしています……。


お知らせひとつ。


友人の音楽ライター、水上徹さんから
ブログをはじめましたとの便りあり。


もっとその文筆を知られるべき博識の鬼才、
ついに登場って感じ。
嫉妬しながら注目します!