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なにかあり/とくになし

カメラ・オブスキュラがやって来る

グラスゴーのバンド、
カメラ・オブスキュラ
来年早々に来日することをこちらで知った。


さらに詳報として
招聘元のサイトも。


詳報という割には
まだあんまりわかってないんだけど。


新代田のFEVERには
カムバックマイドーターズを見に行ったことがある。
2、300人は余裕で入るはずなので、
二日間の日程は正直言って強気だなとも思う。


だって
カメラ・オブスキュラ
日本ではまだ一枚も正式なリリースがない。
もちろん
今どき日本盤って何やそれ? な時代であることは
承知しているつもりだけれど。


実は
ぼくはこのバンドのライヴを一度ロンドンで見ている。
日記をほじくり返してみたら
ちょうど3年ほど前だった。


申し訳ないほどあっさりした記述。
あらためて少し思い出して書いてみよう。


当時は
彼女たちの3枚目のアルバム
レッツ・ゲット・アウト・オブ・ディス・カントリー」が出て間もない時期で
UKツアーの真っ最中だったはず。


会場となったスカラというライヴハウスには
5、600人のお客がいて
その多くは彼女たちが目当てに映った。


フロントの女の子ふたりは
日本基準ではややぽっちゃりなトレイシーアンと
澄ました顔で
でもちょっと恥ずかしそうに端の方でキーボードを弾くキャリー。


問題は彼女たちを囲む3人の屈強な男たちだ。
仮にもネオアコの流れを汲む者ならば
もう少しやせたり気取ったりした方がよかろうと言いたくなるほど
地方都市の屈託のないブルーワーカーな風情で、
まあ、そのギャップに呆気にとられた。


総じて
このバンドには
音楽的な完成度の高さはともかく
どこか肝心なところに無頓着という気分があり、
実のところ
その憎めなさにファンは魅せられているのではないかと
ぼくは思った。


ライヴは1時間ほどで、
ロイド、アイム・レディ・トゥ・ビー・ハートブロークン」が
オープニングナンバーだったと記憶している。


バンドのキモである
60年代趣味についても、
すべてに注意深く技巧を凝らすといったスタンスではない。
「よくお勉強してますね」的なバンドは
もう見飽きた。


むしろ彼女たちを動かしているのは、
「ああ素敵」とうっとりしてしまって
飛び出したはずみに
スカートの裾を引っ掛けてビリッと破るような
うっとりが故のうっかりなのではないかと
ライヴを見て強く実感した。


ひとはそういう“うっとり”や“うっかり”を心に持っていなければ
こわいものしらずにはなれないのだ。


来年1月に
カメラ・オブスキュラの来日公演をやってしまおうなんて
たくらんでいるひとたちも
きっとそういう類の
こわいものしらずに違いない。


うっとりしながら1月を待つ。