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なにかあり/とくになし

巡礼者たち

昨日の夜に届いた報せに受けたショックが
何となく一日尾を引いていて
気がつくとうわの空。


「何か考え事をしてるのか?」と訊かれるが
仕事中も頭の中にあるのは
とりとめもないことばかり。


そんな中で唯一
耳が毛羽立ったのは
ピルグリムという北欧のグループのCD
「ハーバー・ガール」を聴いたときだ。


「マッスウェル・ヒルビリーズ」のころのキンクスみたいな
アコースティックギターのカッティングが聞こえ
一瞬で気分がハッとした。


なんとこのグループをプロデュースしているのが
レイ・デイヴィスそのひとだった。
レコーディングスタジオは
彼の持ち物であるコンクスタジオ。


正直に言って
最近彼が出した
オーケストラをバックにキンクスの曲を歌うアルバムよりも
ぼくにはずっとしっくり来る。


おだやかで
生真面目そうなグループなのに
彼が一枚噛むだけで
どうして
ちょっと世をすねたような気分が加わるのだろう。


元気で健康で
まっとうに生きているだけでは
なかなかひとに伝わらないなぐさめの言葉みたいな情感が
一気に胸に染み込んでくる。


レイ・デイヴィスというひとに
ぼくが期待する才能を
今さらというか
今日こういうかたちで聴くことが出来たのがとてもうれしい。


お客さんのご厚意で
サワリを聴かせてもらっただけだったが
日本にはほとんど輸入されていないというそのCDを
早速入手する手筈をととのえた。



この作品を心から聴かせたいと思うひとがいる。


そして今日
1月23日は
去年、我が家の
黒猫を亡くした日でもあった。


ひょっとして
彼(猫)が
ピルグリム(巡礼者)を
ちょっと落ち込んでいるぼくに
遣わしてくれたのか。