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なにかあり/とくになし

冬のオリンピックは昼のオリンピック

今やっている冬のオリンピックは
昼のオリンピックだ。


日本からマイナス17時間の
北米西海岸で行われている競技は
毎朝、ぼくが目を覚ましてから
ちょうど出かけるくらいの時間帯に
(一般の社会人よりも出勤が遅いのです)
ハイライトをほどよく迎える。


昼のオリンピックだと感じる理由はもうひとつあって、
要するに
夜にオリンピックをじっくり見る番組が
圧倒的に少なくなったからだ。


一応その日のハイライトをNHKで放映しているが、
昔はやれオリンピックだというと
民放も結構ゴールデンタイムに
メーン競技のスペシャル再放送枠を用意していたと思う。


オリンピックやワールドカップなど
世界的な人気スポーツ大会の競技映像の使用料は高い。
そのため
日本ではアメリカのような一局による一括購入が不可能で
NHKと民放各社が資金を出し合って枠を購入している。


そしてその使用料は
映像の再使用にも及ぶわけで、
どうもその辺に
不況という文字がチラチラと浮かぶ。


昨日のとあるニュース番組では
優勝した男子フィギュア選手の映像はともかく、
入賞した2選手は写真のみでの紹介だった。


入賞だって素晴らしい結果なのだから当然紹介すべきだと思うのだが
率直に言って
映像を買う金を惜しんでいるのだろう。


それが見え隠れするのが
日本の現状なのだと思う。


だから
冬のオリンピックは
今までよりもずっと
昼のオリンピックになっているのだ。


そんな昼のオリンピックで
今のところ
ぼくのハイライトは
先日のフィギュアスケートのペアで優勝した中国のご夫婦。


彼らの演技は素晴らしかった。


でもそれ以上に素晴らしかったのは
風貌が感じさせるイマジネーション。


だんなさんの短めのちりちりリーゼントは
アメリカのチャイニーズ・レストランの厨房で見かけそうな感じだし、
シーナ&ザ・ロケッツのシーナを思わせる奥さんの
ジャンプを成功したときのすかっとした笑顔は
その店を繁盛に導くものだ。


ギョーザ,イーガー!


ふたりで中華料理屋を切り盛りしている夫婦が
あんな大舞台で見事な演技を!(完全な妄想)


そう思っただけで
最初から涙腺が刺激されて
しかたなかった。


いやもちろん
彼らは政府の手厚い保護のもと
完全に栄養コントロールをした食事をしているでしょう。
脂ぎったチャーハンは食べないでしょう。


勝手に人生をつくりあげて
感情移入して感動するなんて
競技者の方々には申し訳ない限り。


でもそれが
ぼくの感動。
美しいものを見るときに
リアルなノンフィクションや
国民的な期待なんかを突きつけられる方がよっぽどうざい。


そしてこの不思議な感動は
昼間のメロドラマの時間帯に
オリンピックを放映しているということと
いくらか関係があるような気もするよ。