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なにかあり/とくになし

さよならカセット

翻訳したい本が出来ました。


という言葉の響きは


婚約したいひとが出来ました。


に何となく似てる。


しかし
今ぼくが翻訳したいと思う本は
婚約ではなく
その逆の失恋の本。


タイトルを
カセット・フロム・マイ・エックス(Cassette From My Ex)」という。


邦題をつけるなら
直訳で「ふられたあいつからのカセットテープ」。
それとも
「さよならカセット」。
くー、
自分で書いておいてしびれる。


著者のジェイソン・ビットナーの
辛抱強い情報収集と、
誰もが人生に一度は
誰かのためのベスト・アルバムを作るという
音楽好きの悲しき習性が
見事に合致した一冊。


各自がプライベートテープの選曲や
手書きラベルを公開しながら
そこに秘められた思いを書き綴っている。


しかも自分で作ったんじゃなくて
別れた彼氏(彼女)から昔もらったテープでなくてはいけないという
絶妙なひねり編集が効いている。


他人が描いた自分の肖像を提出しなさい。
そういうことだよね。


しかも
それをまだ手元に持ってるって
おまえらめめしすぎて涙が出るぜ。


せつなくて
痛ましくて
うつくしくて
こんちくしょうな本じゃないか!


去年いいなあと思った
とっくに翻訳の権利が押さえられていて
ぼくの出る幕は全然なかった。


これはどうなんだろう?
もうどこかで仕事が始まっているんだろうか?
こんな本、日本では需要ないんだろうか?
それとも日本人でやってみれば、ってこと?


ちなみに
欧米人の考えるキラーな選曲の
トップリストは
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドらしい。