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なにかあり/とくになし

神様に選ばれなかった者への目配り

ドリュー・バリモアの映画監督デビュー作「ホイップ・イット!」(原題)は
テキサスのオースティンで
ローラーゲームに熱中する女子高生のお話。


「JUNO」のエレイン・ペイジが出ていることもあって
アメリカではそれなりに話題になっているが
日本公開が決まったというニュースはまだ聞かない。


恋と挫折と
年齢的なタブー(アメリカのローラーゲームでは未成年の出場は制限される)とを
主人公の女の子が乗り越えるストーリーは
ありがちと言えば確かにそうなんだけど、
はしばしに心をつかまれるシーンがある。


たとえばライバルとなる強豪チームのエース役と
エレインは強く反目しあっているのだが、
なんとそのエースの年齢は36歳という設定。


あんたみたいなヒヨッコには負けない経験があんのよ的な
おきまりのセリフを言うかと思いきや、
そうではなかった。


あたしは31歳でローラーゲームを始めた。
それまで何がやりたいか探してたの。


自分探し、遅!


しかし、
31歳までやりたいことがわからなかったというセリフには
妙に現代的なリアリティがあるし、
抜け目無く人生を生きることだけが
勝利ではないという説得力もある。


神様に選ばれなかった者への目配りを
苦労人ドリュー・バリモアは知っているのだなと
思わされるシーンだった。


彼女を見ていると
なんとなくオセロの松嶋尚美を思い出す。


お顔が似てるだけじゃなく
機転の利くところとか
インディペンデントなものへの理解とか。


町山智浩さんと毎週MXテレビヘンな映画修行をしている松嶋さん、
ひょっとして映画なんか撮ったら
案外おもしろいのが出来るんじゃないだろうか。


なお本日は
ぼくの兄の誕生日でした。