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なにかあり/とくになし

カーリー&キャロル&ジェームス

「カーリー&キャロル」という曲を思い出したのは
何年か前に見た小野瀬雅生ショウのライヴでのこと。


「少年時代にカヴァーしたかったけど無理な曲」というお題で
このデオダートの曲が演奏された。
たしかフルートのフレーズを
ギターに置き換えてやったんじゃなかったかな。


どこかで聴き覚えがあるはずなのに
そのときは思い出せなかったその曲は、
デオダートがCTIで出した最初のアルバムのA面ラストに
ツァラストラはかく語りき」に隠れるようにして
ちんまりと収められている。


1972年当時
デオダートが夢中になっていたふたりの歌姫
カーリー・サイモン
キャロル・キング
捧げられた曲だ。


カーリー・サイモンの「うつろな愛」を下敷きに
キャロル・キングが曲を書き直して
もっとセンチメンタルな感じに仕立てたみたいな
そんな雰囲気の曲。


とても好きな曲なので
DJするときはよくかける。


話は今日のこと。
めずらしい顔ぶれでお酒を飲んでいたら
話題が間近に迫った
キャロル・キングジェームス・テイラーのコンサートになった。


その場にいた3人中ふたりは
もうチケットを買っている。
何も考えていないのがひとり。
それがぼく。


ひとしきり行くべきか行かざるべきかなんて話をしたあとで
ぼくの目の前に座っていたひとが
神妙な顔で言った。


キャロル・キングはあのころ(70年代初め)、
 絶対にジェームス・テイラーに惚れていたと思う。
 でも彼にはカーリー・サイモンという奥さんがいたから
 音楽的関係にとどまったんだと思う」


ぼくも酔っぱらっていたので
正確な再現ではないし、
だいいち酔っぱらい同士のたわいもない放談に過ぎない。
キャロル・キングだって
そのころはチャールズ・ラーキーとつきあっていたはずだし。


でも
そのひとことが妙に胸に残った。


終電で阿佐ヶ谷まで帰ってきて
夜道をふらふら歩きながら
その発言を反芻した。


キャロル・キングのファースト・ソロである「ライター」と
続く「つづれおり」にある感触の違いについて。


職業作家の匂いを消しきれない迷いも感じる
未完成シンガー・ソングライターとしての「ライター」と
その苦悩をうまく抜け出た「つづれおり」の完成度の高さについて。


年下の才能ある男への共感と恋心が
彼女をプロの作曲家という存在を超えた
ひとりの豊かな女性像へと導いたという可能性について。


そして
デオダートが書いた「カーリー&キャロル」という曲について。


あんた、
カーリーとキャロルが
恋の鞘当てをしていたって
ひょっとして知っていたのかい?


だとするとこの曲の主人公は
ジェームス・テイラーだってことになってしまうんだけど。


そうだ。
そもそもそんな話になったのは
飲み会の席で教えてもらったこの番組がきっかけだった。
BS-TBSは残念ながら見られませんが、
話を聞く限りでは
この番組
そうとうなキレ者が作っている。


ジェームス・テイラー
そしてキャロル・キング
「きみの友だち」を採り上げた回では
何故「つづれおり」のジャケに猫が映っているのか
その理由も明かされているそうだ。