mrbq

なにかあり/とくになし

「春との旅」が終わると雨

吉祥寺に
映画を見に行った。


バウスシアターで上映されている
小林政広監督「春との旅」。


個性の超強い役者たちばかりに囲まれて
ほとんど目だけで
自分の存在を主張する
徳永えりがぶきっちょでよかった。


自分の信じるまま
頑固に生きてきた仲代達矢
自分の老後の道連れになってしまう
孫娘(徳永えり)の将来を案じて、
離ればなれになっていた兄弟や姉のもとを訪れ
自分の身をあずかってくれ
そして
孫を自由にしてやってくれと頼む旅。


ストーリーを追いながら
劇中の仲代さんの兄弟構成を勘定してみたら
ぼくとおなじ男四人兄弟の次男で愕然とした。


ただし、
すこし違うのは
姉に淡島千景がいるところ。
一家は五人兄姉弟だったのだ。


そんなところで安堵してどうする。


映画の最後の方で
若い戸田菜穂
監督は頑迷な老人をほろりと泣かす
ものすごくやさしいひとことを言わせているのだが
それは
現代を生きる人間たちの抱える根本的な孤独への
甘くて
残酷なほど心地よい殺し文句でもある。


そして
その言葉に対して
老人と孫娘が取った態度こそが
この映画の気高い主張なのだとぼくは感じた。


2時間を超える上映時間が
あっという間に過ぎ去って表に出ると
吉祥寺は結構な雨になっていた。


気まぐれな夕立のようだが
梅雨の前奏のようでもある
そんな湿気がした。


ツマとは阿佐ヶ谷で別れ
そのまま新宿へ。
タイ料理をごちそうになった。


CD「ポパイ」の打ち上げを兼ねて
今後の展望を話す飲み会だったはずなのだが
ビア・チャーンを飲み過ぎて
どうでもいい話ばかりしていたような気がする。


途中で
「タイのスウィーツいりませんか」と話す行商の兄ちゃんがあらわれ
白と緑で出来たココナッツゼリーを
わけもわからず購入した。


500円。
コップンカー。