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なにかあり/とくになし

真夏の夜の夢1970s

映画で
中世の貴族や
中東のアラビアンナイト的な王族の寝室が映し出されると
なんとなく親しみを覚える。


親しみを覚えるどころか
自分がかつて
似たような場所で寝ていたという記憶すらあるのだ。


暑さでついに狂ったか
松永良平
自分の前世についておかしなことを言い出した
なんて思われたら困るな。
まあいいか。


記憶をもっと先までひもとくと
より鮮明になって映し出されるのは
飾り屋根のついたベッドではなく
それを薄く覆うベールのようなもの。


夏になると
そのベールのなかに
ぼくたち兄弟は寝ていた。
うっすらと立ち上る煙は
ぜいたくなお香にも似て。


…………。


暑い夏の晩、
田舎の家は窓を開け放ち
蚊や夏の虫の侵入をふせぐため
目の細かい網状になった薄い絹状の幕を
天井の四隅から垂らし
蚊取り線香を焚きながら寝ていた。


それをすなわち
蚊帳という。


たぶん
蚊取り線香がベープマットに切り替わったあたりで
蚊帳の使命も終わったと思うのだけれど。


真夏の暑い晩に
ぼくは王族になった夢を見る。
今でもときどきそれが起こるのは
蚊帳で育ったせいなのだろう。


さて
告知です。


今週末の7/24(土)
恵比寿駅前食堂にまたお呼ばれしてDJします。


真夏しかかけられないレコードを
持っていこうと思ってますので
おひまな方はどうぞよろしく。


時間はたしか
夕方から夜中まで。


そして
もうひとつ予告です。


次回、
なぞなぞを出します。