mrbq

なにかあり/とくになし

きびだんごを食す

レコード屋の仕事が終わって
家に着いた時間(つまり夜10時ごろ)は
我が家の食事のはじまる時間でもある。


テレビを見ながら
おいしくいただく。


今日は「うぬぼれ刑事」を見ながら。
今週、おもしろかった。
竹下景子最高。
ごちそうさま。


そして
いつの間にか習慣として定着してしまったのが
ごちそうさまを言い終えたあとで
ちょっとしたデザートを食べること。


我が家では
これを「アフター」と言う。


もっと詳しく言うと
「アフトゥー」という感じで
舌を縦にまるめて発音する。
別に意味はない。


このアフトゥーというかアフターは
夏場はアイスクリームが主流で
今夜も冷凍庫に
生キャラメル・チョコレート・バーがあるはず(チェック済)だが、
「今日はアイスじゃないぞ」とツマが言う。


何故だと問うと
「そろそろだんごを食わんといかん」


ああ、そうか。


先週、岡山に出張していた弟から
きびだんごを土産にいただいていたのだ。


きびだんごと言うと
あの桃太郎が
犬や猿や鳥をたらしこむために使ったとされる串刺しだんご。
命と引き換えにしただんごだとも言える。


はたしてそんなにうまいのか。


封を空けてみると
つまようじに刺さったこぶりのきなこだんごが
ちんまりと整列している。


ほう……、これが……。


数分後、
我に返ると
箱のなかは空っぽ。
ふたりで
あっと言う間にたいらげてしまっていた。


ぼくもツマも
桃太郎に命をあっさり差し渡したことになる。


いつかはわからないが
桃太郎が夜中にずかずかと家にあがりこんで
「ほれ、おまえ、食っただろ」と
ぼくとツマをどこかの鬼が島(戦場)に連れて行ってしまうに違いない。
もう文句は言えないのだ。


そのせいか
どうも寝つきがわるかった。
朝方、
目を覚ますと枕元にだれか座っている気がした。


桃太郎か?
いいえ、
それはシメキリさんでした。


はい、書きます、今すぐ。
首根っこをつかまれて
ぼくは仕事机に座った。