熟れすぎた夏の終わりに

谷啓さんが亡くなった。

NHK教育で
ひそかに異彩を放っていた小番組「美の壺」の
ホストを草刈正雄さんに譲ってひさしいし、
うわさだけとは言え
体調が思わしくないということも聞いていたから、
変な話
ファンとしての覚悟は出来ていた。

訃報に接してのコメントでは
桜井センリさんのものが
群を抜いて素晴らしかった。
短いのに谷さんのすべてが現れているようで
読んでいるだけで目が潤んだ。

タニケイ、タニケイ、
イタズラ好きで、コーヒー好きなタニケイ。

つきあいの長さ、深さがあるとは言え、
悲しみやつらさと引き換えにして
あれほどの粋を普通はコメントには出せない。

命がけで遊ぶとはどういうことか。
その実例を
また知った。

夜は恵比寿リキッド・ルームでカーネーション。
LOST IN TIME
曽我部恵一ランデヴーバンドとの対バンで
一時間半弱のライヴ。

ドラマーに宮田繁男さん
キーボードに上田禎さん
すなわち元オリジナル・ラヴ（関わった時期は異なる）を迎えた編成には
古いけど新しいというか
新鮮な緊張感があった。

アンコールの
「The End Of Summer」を聴いて思う。

夏の終わりのどろどろアイスクリーム。

この必殺の一行は
2010年の
熟れすぎた夏の終わりに効く薬だったんだな。

帰り道
渋谷川の近くで
やけに大きく秋の虫が鳴いていた。