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なにかあり/とくになし

ライク・ア・ハリケーン

5月21日に
世界は終わらなかったが、
その翌日
ミズーリ州の南で
観測史上最大とも言われるものすごい竜巻が起こり、
CNNはずっとそのニュースを続けている。


怪獣が踏みつぶしていった跡というのは
ああいうものなんだろう。


2ヶ月ほど前に
日本からのニュースで見ていたような風景を
まさかアメリカで見るとは……
みたいな感じか。


アメリカの中西部を買付していると
特に初夏から秋までの竜巻シーズンには
テレビで竜巻警報を見ることがよくある。


「今すぐ窓から離れてください!」というやつ。


はじめてあの警報を見たときは
非日常的な戦慄を覚えたものだが
まさか自分には関係ないだろうと
思っていたのも事実だ。


もちろん
今回の竜巻だって
直接にはぼくに関係ない。


だが、
3・11以降の心境で言うと
今までよりも他人事でなく
肌身にちかい場所で
感情の揺れを感じる部分がある。


荒涼としたがれきの広がる
殺風景な景色を
夜中のテレビで見る。


つい二ヶ月半ほど前にも
おなじような光景を
おなじCNNで
おなじアメリカで見ていた。


何のデジャヴかと思う。


ニール・ヤングの「ライク・ア・ハリケーン」は
あらしが荒れ狂うさまを描くだけでなく
ハリケーンが過ぎ去ったあとの
不穏だがしずかな無常をも映し出しているという点で、
単純なセンチメンタリストよりもずっとすぐれている。


不謹慎と言われても
「ライク・ア・ハリケーン」が
どうしようもなく聴きたくなった。