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なにかあり/とくになし

恋で享受

恋で享受。


いつも恋していて
つらいことがあっても前向きに享受している人間……、
ぼくがそうだってわけじゃない。


震災以降
折に触れて
このひとの意見を読み聞きしていたいと思う人物の名前を
なにげなく検索しようと打ち込んで
変換しているだけなのだ。


誤変換のおもしろさは
英語の世界には存在しない
ひらがなとかたかなと漢字が混在する
日本独自の文化だとは思う。


だけど
このご時世に
“恋で享受”は
いくらなんでも誤変換としては朗らかすぎる。


それも
いけしゃあしゃあと(何度でも)誤変換されると、
さすがになんらかのバイアスというか
意図的な操作が何者かによって行われているんじゃないかと思ってしまう。


あの教授の言ってることはヤバイから
すこしでも目をそらしておこうぜ、みたいな。


まあ
そんなことを
社会のどこかでだれかが本気で考えているとしたら
ちょっとヒマすぎるのかもしれないが(ぼくも、ね)。


そのついでに言えば、
Google
検索用語を打ち込んでるそばから
どんどん“正しい”検索候補がぶらさがってくるという最近のシステムも
真っ当な考えの筋道を奪う一端を担っているんじゃないか。


つまりその真っ当さとは、
迷ったり
間違ったりすることの権利を保証するというものだ。


よく考えもしないうちに
正解を勝手に与えられてしまうということの
怖さを
もうちょっと考えたい。


“恋で享受”以外にも
震災以降
すごくまっとうな発言をしていると思っているのは
このひと


このインタビューも
おもしろいというより
当たり前のことを当たり前に話しているだけ。
それだけでいい。


10年ぶりだという著書
買いたくなった。